トヨタはまだ成長できるのか?これは日本の経済を考える上で非常に重要な疑問です。トヨタの戦略において中核となるのは「全方位戦略」です。この全方位戦略とはどのようなものなのか、それはうまくいっているのか?アメリカ、中国、アジアの地域ごとの潮流を抑えていきながら、評価・分析していきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
トヨタは世界トップの自動車メーカー
まずは、トヨタの業績推移を見てみましょう。リーマンショックで業績が大きく落ち込んだものの、24年3月期は売上と営業利益で過去最高を達成見込みです。じっくりと成長していることがわかります。
そして、22年の販売台数は世界トップ。名実ともに自動車業界のトップ企業です。
出典:各社IR/ニュースより作成
これだけの販売規模を誇りますから、トヨタは世界中で自動車の生産・販売を行っています。北米における販売が最大であり、次いで日本とアジア地域が続きます。
出典:23年3月期 決算説明資料より作成
このようにトヨタは世界中に展開していることから、それだけ多くの自動車メーカーと競争しています。そして、その世界の競合他社はBEV(バッテリーEV車→完全電動車であり走行時のCO2排出量が少ない)生産に全力を注いでいると言って良いでしょう。
その中でトヨタは全方位戦略を打ち出しています。
ここからはその理由と効果を解説します。この戦略がどのようにトヨタの成功に寄与しているかの理解を深めていきましょう。