ダイハツ工業は12月20日、国内外の全工場で、自社で開発した自動車の出荷を停止すると発表した。新車の安全性を確認する試験などの不正が新たに174件見つかったためだ。生産についても停止する。トヨタとしては、グループ内ガバナンスを大きく見直さなければいけない契機となることは間違いない。筆者はトヨタがダイハツの不祥事で、スズキと急接近して、もう一段踏み込んだ資本提携をするのではないかと予想している。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2023年12月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。
なぜ不正が発生したのか?
ダイハツ工業(ダイハツ)は12月20日、国内外の全工場で、自社で開発した自動車の出荷を停止すると発表した。新車の安全性を確認する試験などの不正が新たに174件見つかったためだ。生産についても停止する。
ダイハツの不正は25の試験項目におよび、現在国内で生産・開発中のすべての車種で見つかっており、1989年から30年以上にわたり行われてきた。
しかしながら第三者委員会の発表によると、2014年以降に不正行為の件数が大きく増加しているとある。
その理由は何か?キーワードは「短納期開発」である。
ダイハツは1998年にトヨタが株式の51.2%取得し、トヨタの連結子会社となった。2005年に社長に就任したトヨタ出身の箕浦氏の下で開発した「ミライース」は、従来よりも大幅な開発納期の短縮に成功した。
その成功体験によって、その後も新車開発での期間短縮が求められるようになっていった。
2016年にはダイハツはトヨタの完全子会社になり、トヨタグループでのアジア向け小型車開発という役割を担うようになっていく。
ダイハツではどんどん短納期での開発が至上命題になり、現場が不正に手を染めていったというわけである。
トヨタグループで相次ぐ不正
トヨタグループでは2022年に日野自動車で排ガスや燃費のデータの改ざんが発覚、2023年には豊田自動織機でフォークリフトのエンジンをめぐる不正が明らかになっている。
また不正ではないが、デンソーでは燃料ポンプの不具合によるリコールで、2020年3月以降、国内での対象車両が計380万台を超えている。
トヨタ本体も12月20日に、米国でエアバックセンサーの不具合で100万台のリコールを発表したばかりだ。
なぜトヨタグループで不正行為が相次いでいるのか?