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これで良いのか日本の医療体制。診療報酬・薬価の改定が招く薬不足と医療崩壊=斎藤満

6月から診療報酬が引き上げられました。初診料は30円上がって2,910円に、再診料は20円上がって750円に、そして入院基本料は1日につき50円から1,040円引き上げられました。4月からは多くの薬価も引き上げられ、知らないうちに国民の医療負担が増えています。価格が上がっただけでなく、必要な薬が手に入らない…という事態まで起こっています。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2024年6月21日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

また値上がりした医療費

6月から診療報酬が引き上げられました。初診料は30円上がって2,910円に、再診料は20円上がって750円に、そして入院基本料は1日につき50円から1,040円引き上げられました。

4月からは多くの薬価も引き上げられ、知らないうちに国民の医療負担が増えています。

価格が上がっただけでなく、必要な薬が手に入らなくなり、処方薬を求めて患者が病身の中、4か所も5か所も薬を探して歩けば、病気も悪くなります。なんでも過去に薬価が下げられてメーカーは薬を作っても採算が合わなくなり、さらに円安で原薬の仕入れコストが上がり、採算が取れなくなって薬を作らなくなるケースが多いといいます。ここでも円安か、の思いです。

コロナのウイルス増殖を抑えるラゲブリオカプセルは5日分で9万円もするため、町の医療機関では扱いにくく、処方箋をもらって買いに行くのですが、強い倦怠感と体中が痛い中で、何か所も扱っている薬局を探さねばなりません。途中で座り込みながらもやっと見つけたところが初めての薬局ですと、いろいろ個人情報を記入させられ、長く待たされ、病気が悪化しかねません。

高齢者の医療費負担が増え、高齢者の不安は募るばかりです。高齢化で国の医療負担が増えるのはわかりますが、とることばかりに熱心で、医療体制を守れるのでしょうか。

必要な薬が手に入らない事態も…

このところ日本では抗菌剤や痰をとる去痰薬の不足が深刻です。これら以外にも必要な薬が手に入らないケースが増えています。

一部のメーカーが不正発覚で供給が止まると、その代替薬が不足します。また、政府が過去に薬価を引き下げてきたために、メーカーは採算が悪化し、作っても利益が上がらない薬が増えたといいます。去痰薬はその1つといいます。

生産ラインに限りがある中小薬剤メーカーは、採算の合わない薬より、利益の出る薬に傾斜しがちです。薬局が増産を依頼しても、採算の合わない薬の増産は困難なようです。政府はこのところ薬価を引き上げていますが、メーカーの増産にはなかなかつながらないようです。

また原薬の多くを中国やインドから輸入し、国内で薬品を生産するケースが多いのですが、このところの大幅円安で輸入コストが高まり、薬価が決まっているところへ生産コストが上がり、採算が取れなくなるケースもあります。

また中国の場合は、経済的な採算とは別に、政治的な環境変化で輸入ができなくなるリスクもあり、突然、原薬が手に入らなくなる事態も発生します。

Next: これも国の政策ミス?医療体制が崩壊する危険性

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