ホンダ株保有者の視点
元村:日産の株主にとっては分かったのですが、逆にホンダの株主はどう捉えたら良いのでしょうか。
栫井:ホンダにとって日産を経営統合するメリットはあまり見出せなくて、むしろ経営統合しない方がやりやすいのではないかと思います。さらに、ホンダは二輪が強いですよね。
佐々木:利益率で言うと、四輪が1~4%くらいで、二輪は15%くらいあります。
栫井:売上構成としては四輪の5分の1くらいなのに利益では四輪と同じくらい稼いでいます。しかもホンダの二輪は世界シェアも1位ですし、新興国にカブなどで入って、新興国が少しずつ豊かになるとホンダの良いバイクを買うようになって、さらに経済が発展すると自動車へとなるのですが、ある程度自動車が普及すると今度は趣味で良いバイクに乗りたいということでバイクを買います。趣味のバイクとなると値段としては青天井ということで、バイクのシェアが世界一で、世界では目立った競合がいないとなると相当強いです。ホンダはこの二輪を持っていて、全体としては足を引っ張っている車をどこまでやるのかという話もありますし、ホンダの株主としては二輪だけ切り出してほしいと思っているのではないでしょうか。四輪だけ経営統合して二輪が別になったとしたら、二輪の株を買いたいなと思います。
元村:二輪だけになったら魅力的ですね。
栫井:だからホンダ自ら話を進めたということはないでしょうね。もし経営統合が進んでしまうとすれば、日産に対していかにリストラのプレッシャーをかけていくかが大事になりますし、生き残るためにはおそらく自社の方でもリストラをする必要があると思います。
栫井:ホンダと日産がEV社会についていけるかということが焦点になりがちですが、話はまだまだ前段階で、これからどんな社会になっていくかは分からないですが、いずれにしても今の時点で利益が出るような企業体質にしておかないとその後の変化にもついていけないと思うので、ここは両社にとって正念場になると思います。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年1月21日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。