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イギリス国民を「EU離脱」に追い込んだ、欧州連合とECBの自業自得=矢口新

「景気後退+緊縮」という壮大な実験の帰結

景気後退時に、税収が減ったことを理由に緊縮財政を行うことは、例えれば、震災で税収が減ったところに、復興予算を組む代わりに、予算を取り上げ、公務員を削減するようなものだ。

こういった驚くべきことがユーロ圏では実際に行われ、挙句にPIIGS諸国はドイツのお荷物だと揶揄された。このことは、ユーロ圏各国には、それぞれの国情を反映する通貨・金融政策がないばかりか、財政政策も事実上ないことを意味する。つまり、経済政策がない故の経済危機、高失業率だと言えるだ。

では、サブプライムショック、リーマンショックのお膝元の米国、ユーロ圏よりも大きな影響を受けた英国はどうしたか?政策金利(金融緩和)のグラフは先に紹介した。下のものは財政収支のグラフだ。

日米英の財政収支

日米英の財政収支

どこもGDP比4%を超える財政赤字で、最悪期には米英共に10%を超えた。仮に英国がユーロ圏に加盟していたなら制裁の対象となり、首相が解任、後任者が緊縮財政を受け入れていたことは、想像に難くない。

英国のEU離脱決断は極めて健全

幸いにして、英国には経済政策がある。景気後退時には、適切な時期に金融緩和を行い、財政出動も行える。その効果が明らかなのが、この3カ国の失業率のグラフだ。ユーロ圏の失業率のグラフと比較して頂きたい。景気後退期における、金融緩和と財政出動は明らかな効果があることが分かる。当たり前のことだ。だから、英国民の過半数は離脱を支持した。

日米英の失業率

日米英の失業率

こういった事実を鑑みれば、「景気減速、失業、給与下落、資産価値減少、格下げ」などを持ち出されて、EU離脱は英国自身のためにならないと、ほぼ全世界から脅されても、自国の政治、政策の独立を守りたい人がいて不思議ではない。約半数がそう判断できる英国人は極めて健全だと言える。

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