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次の大地震はどこで発生? 2017年「危険度ワースト3」の要警戒エリアはここだ

南関東、東北、日向灘…村井教授が予測する「2017年ここが危ない」

さて、地球の表面は絶えず動いていると話す村井教授だが、殊に東日本大震災の発生後は、その動きが活発になっており、日本列島のあらゆる場所で、いつ大きな地震が起きてもおかしくない状況であるという。

「そんな日本列島のなかでも、水平方向における変動が最も大きいのが東北地方。注意すべきなのは、動きが激しい箇所よりも、動きの強弱の境目となっている箇所で、そういう地点は地殻が断裂し地震となりやすいんです」

また東北地方は、垂直方向の動きで見ても、日本海側が沈降するいっぽうで太平洋側は隆起するという、異常な動きが続いているという。

「こういった場合、沈降する地点と隆起する地点の中間となる箇所が、歪みがたまりやすい。東北地方の背骨ともいえる奥羽山脈一帯は、地表の変動こそ目立ちませんが、そういった周辺の状況から判断すると、大きな地震の揺れを起こす可能性が大いにあります」

いっぽうで、メルマガ『週刊MEGA地震予測』において、最も警戒度の高い“レベル5”に現時点(2017年3月)で唯一指定されているのが、南関東周辺のエリアだ。
「このエリアでは2016年の6月から9月にかけて、多くの地点で一度に5㎝以上の大きな動きが観測されるという“一斉異常変動”と呼ばれる現象が、5回も発生しました。この一斉異常変動は、東日本大震災が起こる前の東北地方でも発生しており、そのことを考えると非常に危ない状況です。また、昨年9月以降は静謐状態が続いているのも、大いに気になるところ。この静謐期間が長くなればなるほど、地震の規模が大きくなりかねないからです」

2016年に南関東周辺で発生した“一斉異常変動”

2016年に南関東周辺で発生した“一斉異常変動”

東日本大震災の前に宮城県で発生した一斉異常変動

東日本大震災の前に宮城県で発生した一斉異常変動

さらに、村井教授がその動きを特に注視していると語るのが、2017年3月上旬にもマグニチュード5.2の地震が起きた日向灘周辺だ。

「海上保安庁が海底に設置した海底基準点による観測で、南海トラフの広範囲で大きな地盤変動が発生していることが明らかになりました。南海トラフでは将来的に、南海地震・東南海地震・東海地震という3つの地震が連動して起きるとされていますが、過去の事例を紐解くと、それらの3連動地震の前には必ず日向灘で地震が発生しています。よって、このエリアの動きも要警戒と言えるでしょう」

予測のためなら自費で電子観測点を設置

このように列島各地で大地震発生の危機が迫るなか、さらなる予測精度の向上を図るべくJESEAが進めているのが、プライベート電子観測点の設置・拡充だ。

実は国土地理院が設置した従来の電子基準点からは、丸一日分の動きを平均化したデータしか得ることができない。この場合、もし数時間単位で大きく地表が動いたとしても、その後すぐに揺り戻しの動きがあれば、一日分のデータとしてはあまり変動のないものに丸められてしまい、その地点で実際に起きた異常を捉えることが難しくなってしまう。

その点、自前で建てるプライベート電子観測点は、その地点がどのように動いているのかを、1時間や3時間といった短いタームでの平均値で出すことができる。さらに、国土地理院が建てた電子基準点からのデータが通常2週間後に公表されるのに対し、プライベート電子観測点からのデータはタイムラグなしで得ることができ、すぐ分析にまわすことができる。

「大地震の直前にはプレスリップ(前兆すべり)という、異常な地殻変動が必ず発生します。プライベート電子基準点によって、この動きをリアルタイムでキャッチすることができれば、“数日後に地震が起きる”といった短期的な地震予測も可能となり、より多くの命を救うことができるのではないかと期待しています」

2015年には小田原・大井松田の2地点に、このプライベート電子観測点JESEAが自費で建てたことに加え、4月までに全国16か所のNTTドコモの携帯電話基地局内にも、地殻変動を捉えるプライベート電子観測点が順次設置される予定だ。

「それらにくわえて、近日中には都内にも新たなプライベート電子観測点を自費で建てる予定です。それが完成すれば、大地震の発生が懸念される日向灘・南海・東南・東海・首都圏といったエリアを、リアルタイムで監視できる体制が整います」

また、これまで研究を重ねてきた地殻変動による地震予測以外にも、今後は大地震発生の直前に発生するとされるインフラサウンド(非可聴音)を利用した予測も併せて展開できればと、目下のところ研究を重ねているとのこと。予想精度のさらなる向上を目指して、新たな試みにも貪欲に挑戦し続ける村井教授は、自らの今後の活動について意気込みをこう語る。

「地震予測の世界はまだ発展途上ですから、予測が外れてご迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。しかし“異常を公表するも外れる”のと、“異常を公表せずに被害者が出てしまう”のとでは、後者のほうが罪深い行為だと思うのです。ですから私は、予測が当たる、当たらないといった声に惑わされることなく、もし異常を見つけたら恐れずに“異常である”と発信する姿勢を貫いていきたいと思っています」

地震予測は総じて眉唾物という既成概念も幅を利かすなか、それでも村井教授は東日本大震災で味わった後悔をバネに、そして「多くの命を救うことに繋がれば」という想いを胸に、日々情報を発信し続ける。誰もが未だ成功していない“完全なる地震予測”。それを成し遂げる日が訪れるまで、村井教授の“震災後”は終わらないのかもしれない。

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フジテレビ「Mr.サンデー」「週刊ポスト」など数多くのメディアで取り上げられ、話題沸騰中・東京大学名誉教授村井俊治氏が顧問を務める、 JESEAジェシア(地震科学探査機構)のメルマガです。東日本大震災以降、地震予知・予測の必要性が問われています。 JESEAジェシア(地震科学探査機構)は、測量工学的アプローチで地震の前兆現象を捉え地震を予測します。東京大学名誉教授の村井俊治先生の研究技術により、国土地理院が設置した全国1300か所の電子基準点のデータを解析し、過去の地震の震源、震度、マグニチュード、被害の程度などとの相関分析を行い、地震の前兆現象を捉え地震予測を提供しています。

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