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新卒採用数が物語る「将来の業績に強気な会社」各業界の思惑は?=山田健彦

採用予定総数別ランキング

採用予定総数の首位は8年連続の三菱電機で、前年並みの650人を計画するそうです。産業ロボットにAIやあらゆるモノがネットでつながる「IoT」を導入すべく人材確保を急いでいます。

2位は技術者派遣のメイテックグループ14.1%増の590人。人手不足に加え、AIや自動運転などの技術開発を進めるメーカーやIT企業から引き合いが続いています。派遣のアウトソーシングも26.9%増の495人を予定しています。

日本電産グループはM&A(合併.買収)をテコに規模を拡大しており、採用数を5割以上増やしています。先端技術や将来の製品開発を担う研究開発で人材が不足し、テレビCMを放映して知名度向上を図っています。

スギ薬局は店舗を20年までに現在の4割増の1500店に拡大する計画で、薬剤師や管理栄養士、店舗スタッフを増やします。就職活動を前倒しする動きに対応し「インターンシップを増やす」とのことです。

文科系では綜合警備保障(ALSOK)グループ約930人の採用予定で、昨年まで3年連続で首位だった大和ハウスグループを抜き、初めてトップになりました。同社は2月に日立グループから警備子会社、4月にNTTグループから自社警備事業を買収するそうです。

文化系2位大和ハウスで919人、4位は積水ハウスグループで465人の採用予定。首都圏などの富裕層向けに賃貸アパートの需要が旺盛で、資産運用のコンサル提案ができる営業員として育成する予定だそうです。

増加数のランキング

増加数のランキングでは、採用計画の増減率を業種別で見ると、製造業が高卒も含めた総合計で4.9%の伸びにとどまった一方で、非製造業は10.4%増でした。

非製造業のうち、陸運が22.3%増を計画するほか、レジャーも43.7%増を見込んでいます。高齢化を背景に需要が増している給食やドラッグストアも積極採用の姿勢が依然として強いようです。

増加数ランキング首位だった介護最大手のニチイグループは、17年実績見込みから739人増の1224人の採用を計画しています。同社は17年春採用でも1180人を計画しましたが、確保できたのは485人にとどまっています。

高齢化の進展で今後も介護需要は強まる見込みで、介護各社は新卒採用での人材確保に躍起です。SOMPOケアメッセージも18年春に2倍以上の300人の採用を計画しています。

増加数ランキングで2位の日清医療食品は、病院や介護施設向けの給食大手企業です。高齢化に伴う給食ニーズの高まりで、約1.5倍の1431人の採用を計画しています。介護食品のグリーンハウスグループも2倍弱の460人を計画しています。

トラック運転手の成り手が不足していますが、運輸業界でも新卒採用を強化する企業が目立っています。ヤマトグループは225人増の約1050人を計画。大卒は前年並みの約300人を予定し、高卒で前年より4割多い約600人の採用を目指しています。高卒は17年度採用でも600人を計画していましたが、労働需給の逼迫で予定数を確保できませんでした。同社の従業員の待遇改善は、このような背景もあるものと思われます。同業の福山通運グループは17年実績見込みの約1.8倍の500人の採用を計画しています。

Next: 総じて、新卒採用に積極的な企業の株価は強い

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