日本の株には欧米の投資マネーが流入しています。流動性が潤沢なうえに、円安が進んだために、外人投資家から見れば、日本の不動産も株価も割安に見え、買いやすくなっています。
つまり、今回は日本人が借金をして株や不動産を買うパターンではなく、円安の中で外国資本が資産価格を押し上げている形になります。円安はインバウンド需要を刺激して観光地でカネを落としているだけではありません。
超円高後の大規模緩和
これだけの大規模緩和を実現させた背景には、安倍政権時の1ドル70円台の円高と国内のデフレ的な経済が一緒になり、「円高デフレ」からの脱却をうたったことがありました。
これが異次元緩和の元となる「アベノミクス」をもたらしました。政府日銀が先頭になって円高から円安にしようと政策資源を大量に投下しました。
特に鳴り物入りで始めた大規模緩和でも、「2年で2倍、2%」の掛け声倒れにとどまらず、異次元緩和を7年続けても物価上昇は全く実現できませんでした。このため日銀はむきになって「非伝統的」手段に訴えてまで金融緩和を異次元規模で進めることになりました。
折しも、コロナ過でサプライチェーンが壊れ、突然需給バランスが崩れ、世界でインフレが急伸します。日本も例外ではありませんでした。
普通はインフレ懸念が出れば金融緩和は修正され、予防的引き締めがなされるのですが、日銀はそれでも意図的に物価高、円安を起こそうとして大規模緩和を続け、見事に1ドル160円の円安を引き起こしました。円の価値は安倍政権発足時の半分になり、世界に「日本のバーゲン・セール」を打ったことになります。
そして外国人旅行者、海外投資マネーが日本に大挙して押し寄せました。
物価高での異例のバブル
日本での物価高と資産価格の同時高を目の当たりにして、外人主導の市場に日本人が遅れて加わりました。
物価高の中では国内マネーが資産バブルを引き起こす余地は通常小さいのですが、大幅かつ長期化する物価高から身を守るためには、物価高に強い資産に移す必要があります。円の現金預金で持っていれば物価高で価値が目減りするばかりです。
そこで個人のインフレ防衛手段として、金や株が選好されるようになり、個人マネーも金、株に向かうようになりました。低金利でインフレという経済では金が防衛手段として選ばれやすくなり、長期的にインフレに対抗できる資産としての株にも個人マネーが向かうようになり、金高、株高を促すようになっています。






