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牛ではなく豚が主役!松屋フーズ「株価絶好調」を支える新戦略とは?=佐藤昌司

なぜ松屋の株価だけ大きく伸びているのか。答えは「豚」にある

答えの1つは「」にあります。松屋フーズはとんかつ店松乃家」を運営しています。近年、出店を加速させています。松乃家のとんかつは低価格であることが特徴です。例えば定番の「ロースかつ定食」は税込500円(本稿執筆時)です。他のメニューも低価格です。

松乃家では定期的に割引キャンペーンを行なっています。500円以上のメニューを500円に値下げするキャンペーンや、100円引きキャンペーンを実施し、低価格を訴求することで集客を図っています。昨今の節約志向を強める消費者に好評です。

松乃家のとんかつに使用される豚肉の主要原産地はアメリカとデンマークです。海外からの輸入に頼っています。この10年の豚肉の輸入価格は安定しています。部分肉に換算した1キログラム当たりの価格は500円台で長らく推移しています。米国産ショートプレートのような大きな変動がありません

このことは松屋フーズにとって大きな意味があるといえます。仕入れ価格の変動が激しい牛丼業態だけに頼った状態では経営は安定しませんが、仕入れ価格が比較的安定しているとんかつ業態の松乃家が育てば経営は安定します。というのも、松屋フーズは吉野家HD、ゼンショーと比べて牛丼業態の割合が高いという特徴があるからです。

松屋フーズの売上高は松屋で約9割を占めています。一方、吉野家HDは「吉野家」で5割程度です。ゼンショーは「すき家」と「なか卯」で3~4割程度で、すき家のみでは3割以下になると思われます。このことから、松屋フーズは仕入れ価格が安定していない牛丼業態に依存している状況であることがわかります。

そういった状況で非牛丼業態の松乃家が成長していることは大きな意味を持ちます。松乃家を中心としたとんかつ業態の店舗数は2016年12月末時点で109店舗です。3年前の同時期では42店舗しかありませんでした。わずか3年で2倍以上の規模に成長したのです。松乃家が第二の柱として育っています。牛丼業態依存の経営から脱却することができるのです。

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