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パクリ国家の限界。中国の誇る「技術力」が日本の足元にも及ばないワケ=黄文雄

高性能でも実用性は高くない、中国製スパコン「本当の評価」

今回の「神威太湖之光」は、「京」と同等の電力で性能は9倍になるということですから、大幅な性能アップを実現したことは間違いありません。しかし中国におけるスパコンは「運用コストが高く使えるソフトが少ない」ということで、あまり実用性が高くないという評判です。
われらの「スパコン」は高性能だが…「運用コスト高く、使えるソフト少ない」=中国メディア

昨年まで世界1位だった「天河2号」は、中国人民解放軍国防科学技術大学が25億元(約410億円を投下して開発しましたが、2014年4月の運用開始以来、120社ほどにサービスを提供しているといいます。しかし、「天河2号に対して投下された資金はスパコンそのものの開発に使われたため、研究に活用できるソフトウェアの数が少なく、顧客は天河2号を使用するにあたって自らプログラムを組なければならない状況だ」といいます。

清朝末、中国では洋務運動(西洋の技術導入)という改革運動が起こりましたが、その際に叫ばれたのが「中体西用」でした。これは、中国の制度や文化、倫理などを根本として、西洋の科学技術を利用するという主張です。言い換えれば、中国というハードに、西洋のソフトを使うということでもあります。ところがこの改革運動は中途半端であったため、すぐに失敗してしまいました。

現在の中国も、「より大きいものがいい」「世界一がいい」という中国人の好みどおりに、高スペックのハードはつくるものの、それを動かすソフトはいまだ外国製に頼りっぱなしという状態です。

一方で日本は目指す方向を計算処理の速さではなく電力あたりの計算速度へと転向しており、TOP500と統合された省電力スパコンのランキング「Green500」では、理化学研究所が運用する「菖蒲」が2連覇となっています。先の車の例で考えれば、リッターあたり100km走る車を開発するようなものです。

中国の技術力を過小評価する必要はありませんが、過大評価するのも禁物です。「世界一」といっても、すでに世界的に評価されなくなりつつある分野で1位になっても、あまり意味がありません。

Next: 中国の主張する「世界一」が日本の脅威にならない理由とは?

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