2010年のG20
実は、2010年のG20において、リーマンショック後の各国の財政出動、及び財政赤字の拡大を受け、「財政再建」の方向性で合意がなされたのです。G20の首脳宣言では、「2013年までに財政赤字半減」という数値目標が宣言されました。
その後、日本のみならず、各国は「財政拡大」ではなく「財政再建」路線を突き進み、今や需要不足が世界的に慢性化してしまいました。G20の合意を受け、菅内閣は「2020年までにPB黒字化」を閣議決定し、現在に至る緊縮財政路線が始まったのです。
今回の安倍政権の財政拡大への路線転換(まだ転換していませんが)は、5月26日、27日のG7合意を背景にしています。つまりは、「国際合意による財政出動」というレトリックを、安倍政権は活用することが可能なのです。
しかも、参議院選挙で勝利し、自民党が参院で単独過半数を獲得しました(平野達男氏が自民党に入党したため)。
政権基盤は盤石で、財政出動の国際合意もある。冗談でも何でもなく、今回の「財政出動への転換」が、日本がデフレから脱却し、発展途上国化を免れるためのラストチャンスかも知れません。
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016/7/18号より
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