こうなってしまっているのは、証券会社のアナリストや、相場の予想屋さんのミスリードである。ショーンKが番組で使われるようになったのは、肩書があったからである。日本では、肩書があると、どんな適当なことを言っていても、それが受け入れられる傾向がある。
逆張りは、当たりはずれがすぐに出るので、なんとなく、結果が出ているような気になりやすく、初心者に受け入れやすい。業者は、オシレーター系のテクニカル指標などを使って、“ほら当たったでしょ”といって引き付けようとするのである。どこどこの証券会社の運用担当者の意見だなどと言われると、なるほどそうなのかと思う。
しかし、値動きの本質に気づくには、世の中を俯瞰できるようになる時間が必要である。私は目が覚めるのに10年かかった。それから数年かけて、パワートレンド理論を組み立てた。
結論は、簡単に言えば順張りである。
前回、日経平均株価の6月24日の急落を喜ぼうという記事を書いた。内容は完全な逆張りになるが、ポイントは、仕掛ける場所ではなく、今年後半に株価が上昇するというシナリオを信じ続けることができるかどうかなのである。
円・ドルは、FRBによる利上げが遠のいたことで、政府、日銀が円高対策を行わなければ、円高方向へ誘導されやすい状況が続くことになった。そのため、7月末の日銀会合まで、あと2週間くらい、円高方向へいきやすい状況がある(編注:本稿執筆2016年7月10日時点)。
目先、24日につけた98.98円を割れて、95円、93円を目指すことも考えておく必要がある。その場合、日経平均株価は、6月24日の安値14864円を割れる動きになる。そうなったとしても、今年後半に上昇を開始するという見方は変わらない。
目先、さらに一段安となっても、それを信じられるかどうか、そんなことが勝敗を分けるのである。いい場所で買ったとかそういうことではない。どこまで、自分のシナリオを信じることができるか、信じる根拠を組み立てられるかが重要なのである。
投資は、宗教ではない。信じられるということは、そうならないケースも用意してあって、まだそれに当てはまっていないだけのことである。