パワー・トレンド講座 第六回 勢いの強い動きが継続しているときの調整
「信じる者は救われる」と前述したが、その信じる根拠は、確率や思惑ではない。現実社会の必然として、ものやお金が動かざる得ない状況、人がどうしてもそうしなければいけない事情だけが、人がその行動を起こす理由として信じられるものである。
「スティング」という映画は、誰もが見たことがあるのではないだろうか。大物ギャングに仲間を殺された若い詐欺師が、その恨みを晴らすため、舞台を整えて、相手に大博打を打たせて、敵から大金を奪うという内容である。
詐欺師は、相手が必ずその行動に向かうように誘い込むことがうまい。人を出し抜いて儲けられる場所があるとするなら、それは、相手が必ずそういう行動をとらなければいけないとき、あるいはそういう行動を起こしてしまうときである。人の行動が読める唯一の場所だから、“事前に万全の策を講じることができる”。だから、信じることができるのである。
さて、今回は、勢いの強い動きへ入っている場合の値動きのパターンを紹介する。
値動きは、時間待ちの状態と積極的な状態(勢いの強い動き)のどちらかしかない。時間待ちの動きは何でもありだが、勢いの強い動きは、市場参加者の思惑が一致していなければいけないので、それを確認するために一定のパターンができる。
だから、勢いの強い流れができると、そのときの状況だけはわかるので、値動き全体が見えてくるようになる。
勢いの強い動き、積極的な動きは、1日の値動きが方向へ大きく振れることや、調整の仕方によって判断できる。調整の仕方は、勢いの強い動きが継続している調整と、一時的に勢いの強い動きが終息しているが、積極的な状態が変わっていない調整の2通りがある。
まずは、勢いの強い動きが継続している場合にあらわれる調整について紹介する。
勢いの強い流れが継続しているときは、短期の市場参加者が短い期間で1円でも多くの利益を得るために必死になっている。彼らは、多くの市場参加者が共通の認識の中で動いているかどうか、びくびくしているので、価格が反転を示す動きとなったり、長く利益を拡大できない状態になると、すぐに市場から逃げ出すことになる。
具体的には、上昇途中で上値、下値を切り下げる動きを形成する、高値を5営業日以上更新できないなどの動きがあれば、いったん様子見に入る可能性が出てくる。
そのため、勢いの強い上昇を継続する格好であらわれる調整は、上値、下値を切り下げる動きにならず、3営業日程度で調整を終了する動きになる。おおまかな目安としては、図2~4のような格好のパターンを形成する。
勢いの強い上昇の途中で図2~4のような動きを経過して、すぐに上昇を開始するなら、その流れを継続するという判断ができる。
言い換えると、勢いの強い上昇途中の調整が図のパターンにあてはまらない形になる場合、上値、下値を切り下げる、あるいは下げ幅が大きくなる、下げ期間が長くなる展開になるなら、勢いの強い動きが終了して、積極的な状況が変わらない中での調整か、時間待ちの調整、下降が勢いづく動きのどれかという見方になる。