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「標的」にされたドイツ銀行。いったい誰が、何のために?=斎藤満

ドイツ銀行の株価動向に要注意、今後のポイントは?

今回、ドイツ銀の経営陣は、資本は十分あり、資本増強の必要はないと言いましたが、安心できません。

銀行規制のもとにある「バーゼル3」では自己資本比率が8%以上とするうえに、グローバルに影響力を持つ大手銀行には最大8.5%の上乗せがあり、最大16.5%の自己資本が求められます。欧米の大手銀行は10%以上の自己資本を持つと言いますが、求める水準自体が高くなっています。

しかも、バーゼル規制では資本の中身を厳しくする上に、リスク資産の計算上でも、一般貸出のリスクウエイトを20%から150%とし、クレジットの低い貸出資産のリスクを大きくしているので、不良債権が大きくなるほどリスク資産が大きくなり、必要自己資本が大きくなります。

この規制が厳しくなるほど、銀行は無理をして余計体力を低下させる面があります。

銀行証券の両方ができる巨大なユニバーサルバンクとしてのドイツ銀が危機に陥ると、欧米銀行にも波及するシステミック・リスクも大きくなります。ドイツ銀の株が大きく売られる時には、米国市場でもゴールドマンJPモルガンなどの株も大きく売られました。

ドイツ銀が経営危機に陥ると、リーマン危機の再現ともなりかねません。

世界の金融市場が長年の超金融緩和の下で株も債券も「バブル」が膨らんでいるところへ、マイナス金利が広がり、まともな金融取引ができなくなり、金融機関が収益を上げにくくなり、資本の論理が実質的に破たんしています。

市場が弱体化しているところにショックが生じると、バブルが弾け、市場が混乱するリスクが高まります。

政治的にも経済的にも閉塞感が強まっている中で、現状打破を企てる勢力が少なからずいます。彼らにとっては、絶好のかく乱チャンスであり、その一環としてドイツ銀が利用されるリスクがあります。

ドイツ政府に救済に出られない事情があるとすれば、ドイツ銀自身の財務体力のみならず米国当局や金融規制当局の出方にも注意が必要となります。


※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年9月30日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初は特にお得です!

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マンさんの経済あらかると』(2016年9月30日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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