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限界近づく「CAPEレシオ」 イエレンも恐れる株バブル崩壊の根拠とは?=吉田繁治

現在の日本株のシラーP/Eレシオはほぼ30倍

日本株に対するシラーP/Eレシオは作られていませんが、ニッセイ基礎研究所の試算では、日経平均1万4000円のとき、ほぼ25倍です。本稿執筆時の株価は1万6614円ですから、ほぼ30倍になっている危険な価格です。

ここまで上がっている原因は、政府のPKO(Price Keeping Operation:株価維持政策)による買いです。米国株が暴落した場合、日本株も暴落を後追いします。日本株の売買の70%は、海外からの売買だからです。

金融資産に占める株式の割合が大きい米国

米国株の時価総額は$20兆(2000兆円)付近であり、日本のほぼ4倍です(本当は3倍が妥当な線)。上がっている2016年5月末は、NYSE(ニューヨーク証券取引所が$19兆、ナスダックが$7兆で、合計が$26兆(2600兆円)で、同時期の日本(東証)の500兆円の5倍以上です。

米国株が半分に下がると、株主資産(60%は金融機関とファンドの資産)に、1300兆円の損失が生じます。これはリーマン危機のときの不良債券と同じ「金融危機」をもたらします。自己資本が合計で200兆円しかない米国の金融機関が、同時に、債務超過に陥るからです。これが、FRBのイエレンとIMFのラガードがもっとも恐れていることです。

(1)日銀の、異次元緩和からの出口政策では、長期金利の上昇が、国債の発行不全をもたらします。
(2)FRBの出口政策でのもっとも大きな懸念は、リーマン危機前の高値をダウで$4000も超えている株価の崩落と、上がっている住宅価格の下落です。

住宅もサブプライム危機前のバブル価格に近づく

米国の主要20都市の住宅価格(S&P/ケース・シラー住宅価格指数)は、2006年6月に205をつけました(2000年1月=100)。リーマン危機後、140へと32%下がりましたが、2012年以降は、住宅金融の超緩和(FRBによるMBSの買い上げ)を主因に上昇に転じ、2016年5月は180です。現在は、前年比5%で上がり続けています。

金融緩和の要因で上がる、世界の株価と大都市部の不動産は、同時に「ゼロ金利バブル」の状態にあるとみています。ただし、バブルの渦中で「バブルだ、いずれ暴落する」と言えば、株価が上がると利益が大きくなる証券会社から、オオカミ少年とされるでしょう。

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2016年9月14日号)より一部抜粋、再構成
※記事タイトル、本文見出し、太字はマネーボイス編集部による

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