3:Amazon Echoは前年同日比7倍も売れる
前述のプレスリリースで公表されている数字をさらに見てみたいと思います。
Amazon Echoの売上は前年のプライムデーに比べて7倍
スマホアプリからの注文は前年同期比で2倍以上
今回のプライムデーでの最大のプロモーションはおそらくAmazon Echoだったでしょう。通常180ドルするAmazon Echoが、なんと90ドルで販売されていました。つまり90ドルオフ!あるいは50%オフ!という驚異的なディスカウントです。
しかし、いくら半額にしたとはいえ、前年比で7倍の売上になるというのは驚異的としか言いようがありません。
この驚異的なディスカウントをしてまでAmazonがAmazon Echoを売りたかった理由は明白です。
まだ日本では販売されていないようなので、Amazon Echoについて簡単に説明します。Amazon Echoは、Amazonが所有する人口知能Alexaを搭載した対話型の音声アシスタント端末です。どんなことができるかというと、話しかけるだけでニュースや天気予報を音声で回答してくれたり、好みの音楽を流してくれたり、自分のAmazonの注文履歴から再注文をすることができたり、Kindleの書籍を音読してくれたりもします。
さらに、話しかけるだけでピザを注文したり、スターバックスのテイクアウトの予約をしたり、緊急時にあらかじめ登録しておいた人に連絡してくれるという機能もついています。既存の家電と組み合わせることができるので、エアコンやテレビが接続できる機種である場合は、「エアコン(電気)を消して」と話しかけるだけでエアコンや電気をコントロールできます。
スマホのように活用範囲が広く、スマホと違って話しかけるだけで使えるため、多くの場合リビングルームに置かれ、毎日のようにユーザーが話しかける対話型のデバイスであるため、Amazon Echoを購入したユーザーはAmazonとの接触頻度が劇的に高まり、接触時間も増加します。
ユーザーの接触時間が長いスマートフォンに、EC各社が自社のスマートフォンアプリをインストールしてもらうことで注文機会を増やそうとするというのと似たロジックです。
まだ数字としては公開されていませんが、「Amazon Echoのユーザーになると、買い物をする頻度がこのくらい高まる」というようなデータがAmazon内部で既に十分取れているのだと思われます。
つまり、今回のようにAmazon Echoの端末そのものを赤字覚悟の値段で販売したとしても、後々、十分に元が取れるという計算ができているうえでの今回のセールだと思われます。
まとめ
取扱高がYoY+60%という数字も凄いですが、何と言っても、プライムデーの目的は以下の2つだったのではないかと思います。
- プライム会員数を増やすこと
- 音声アシスタント端末であるAmazon Echoユーザーを増やすこと
この2つの施策は、「Amazonへの接触頻度、接触時間」を増やし、ひいては「購買頻度」を高めることにつながります。このぶれない戦略を徹底しているAmazonは改めて凄いなぁと思った次第です。
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『決算が読めるようになるノート』 2017年7月26日号「KDDIはなぜ携帯料金を値下げしたのか?今後他のキャリアは追従するのか?」より抜粋
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