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現代経済史で読み解く「トランプ経済学」得をするのは中国とインド?=栫井駿介

アメリカ大統領選挙では市場やマスコミの事前予想に反し、ドナルド・トランプが次期大統領になることが決定しました。株式市場は乱高下し、これから起こることについて多くの人が頭を悩ませています。もし彼が選挙中の発言を実行するとアメリカ経済に何が起きるのか、現代の経済史から読み解きます。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

トランプが選挙中の発言を実行すれば米経済は一人負けに?

企業活動に国境は関係なくなった

時代が進むに連れて、企業の経済活動は国境に制限されないようになってきました。かつては自国で生産した製品を海外に輸出することが中心でしたが、1980年代後半の日米貿易摩擦において、アメリカは日本からの自動車や電気製品の輸入を制限しようとしました。

すると、日本企業はアメリカの中に工場を建設し、輸出を回避することで生産活動を続けました。これが輸出だけでなく、生産も海外に移管することの先駆けとなりました。

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その後、中国が経済開放政策を進めると、豊富で安い労働力が得られることから世界中の企業が生産拠点を移しました。当初は繊維製品など簡易なものが中心でしたが、やがて精密機械にも進出しました。経済特区の深センなどでは様々な企業が生産拠点を構え、中国が「世界の工場」としての地位を確立しました。

今ではiPhoneをはじめとするハイテク製品のほとんどは中国で製造されています。アメリカ発のアップル社製品だろうと関係ありません。生産地も消費地も簡単に国境を超える時代になっているのです。

保護主義は労働者のためにならない

そのような状況で、トランプは「日本や中国からの輸入に多額の関税をかけろ」「TPPやNAFTA(北米自由貿易協定)から離脱する」と、現在の世界経済とは相容れない発言をしています。

その根拠は、日本や中国・メキシコの製品や安い労働力がアメリカの雇用を奪っているという主張です。これが職を奪われた白人労働者層の共感を呼び、支持を伸ばして当選するまでに至りました。

しかし、もし関税を大幅に上げ、自由貿易協定から脱退したとしても、労働者の生活が豊になるわけではありません

グローバル化した企業が今からわざわざ今から賃金の高いアメリカに工場を建設する合理的な理由がありません。それならばと最低賃金を引き下げることは、トランプの支持層からすれば最も受け入れがたいことです。

さらに、関税を引き上げたとしたら、アメリカの労働者たちはバカ高いiPhoneを購入しなければならなくなります。しかし、アップルを例に取ったとしても米国外の売上のほうが多く、主要な生産拠点をアメリカに移すようなことはしないでしょう。

Next: 保護主義政策を実行すれば、中国やインドが漁夫の利を得る結果に

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