不安要因の消えた2017年の日経平均株価は年間を通じて上昇の可能性
今年年初の人民元安は、昨年末からの投機による仕掛けがあったと言われています。人民元は、2009年半ばまで中国本土内(オンショア)でのみ人民元決済が行われていましたが、その後、中国本土外(オフショア)での人民元決済が段階的に認められ、香港を中心としたオフショア人民元市場が発展してきました。
オフショアの金融機関は限られた場合を除き、オンショア人民元為替・金利市場にアクセスすることができず、またオンショアの金融機関も原則オフショア市場にアクセスすることができません。
昨年末、今年10月に人民元がSDR構成通貨に入るという発表がありました。人民元が自由化へ向かう場合、どこかのタイミングで人民元が暴落することに対する懸念が生じます。
この不安心理がオンショア市場での潜在的な人民元への売り圧力を膨らませていたため、それを利用して、投機がオフショア市場で積極的に人民元を売り、先行的に人民元安を作り出し、オンショア市場とのかい離を拡大させて、オンショア市場での人民元安を誘導するという取引が行われていたようです。
人民元安が円高につながり、株安へ導くことになったので、結果として、投機は、人民元でも、円・ドルでも、日本株でもぼろ儲けしていると見ています。
来年は、今年、外国勢が6兆円も売り越したと言われているように、12年からの買いを十分に手じまいしているので、積極的に売る必要がありません。また、米国株式市場が弱いというイメージも払しょくされました。
現状から見れば、来年の米国の最大の不安は、米国内での投資を積極的に誘導することや、金利上昇に伴い、ドル高が進むということです。そのような状況で、投機が人民元安を仕掛けることを許すとは考えられません。
来年の日経平均株価は、不安要因がほとんどないので、年間を通じて上昇の流れを作る、05年のような展開になる可能性があります。