記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年8月16日より
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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017/08/16号より
さる8月7日、世界的に知られた俳優が亡くなりました。
中島春雄さん。
享年88。
…え、誰?
と思われた方もいるでしょう。
そんな方でも、中島さん最大の当たり役はご存じのはず。
観たことのある方も多いと思われます。
ずばり、ゴジラ。
1954年につくられたオリジナル版『ゴジラ』で、中島さんはゴジラのスーツアクターに選ばれました。
モンスタースーツ、つまり着ぐるみの中に入って、かの大怪獣を演じたのです。
以後、ゴジラに扮すること実に12回。
『ゴジラ』の主演俳優は普通、宝田明さんとされます。
もちろん、これはこれで正しい。
ちなみに初主演作品でした。
ただし宝田さんによれば、撮影開始の際、スタッフにたいして
「主役をやらせてもらう宝田明でございます」
と挨拶したところ、
「バカヤロー、お前が主役じゃない。主役はゴジラだ」
と怒鳴られたとか。
ならば中島さんこそ、『ゴジラ』の真の主演俳優と言うべきでしょう。
タイトルロール(役の名前が、作品のタイトルにもなっているキャラクター)を演じたわけですからね。
個人的には、マッドサイエンティスト「芹沢博士」役の平田昭彦さんも捨てがたいのですが、これは脇に置くことにします。
さて。
中島さんは海軍の予科練出身。
特攻隊に配属され、出撃を待っているところで敗戦を迎えたそうです。
その後は占領軍の運転手を経て、1950年に21歳で東宝に入社。
いわゆる大部屋俳優でしたが、『ゴジラ』で映画史に名を残すこととなりました。
けれどもゴジラのスーツアクターが
〈占領軍の運転手をしていた特攻隊帰り〉
というのは、じつに興味深いものがあります。