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人工知能(AI)は敵か、それともブラック労働から私たちを救う解放者か?=東条雅彦

歴史上、産業革命によって社会不安に至った例はない

人工知能が人間の仕事を奪ってしまい、(AI失業によって)社会不安が起きるのではないかという懸念について、次のように書かれています。

歴史に学ぶ1つの示唆として、職業分類の変遷を追いかけてみたところ、これまでにも既にかなり多数の職業分類が消滅してきていることが分かっている。職業分類が無くなることは、少なくとも統計情報を取得する意義が薄れてくるほどに、その職業についている人口が少なくなってきたことを示唆している。

しかし、これらの変遷に伴い、社会不安などに至った例は報告されていない。むしろ、経済学的に通常と捉えられている「恐慌」「不況」「経済停滞」による雇用への悪影響の方がはるかに深刻であると考えられる。

人類はこれまでに産業革命を合計で3回、経験しています。

<産業革命の歴史>

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その時に多くの人が失業してしまい、大きな社会不安が起きたという話は聞いたことがありません

例えば、20世紀の初めには米国では40%の人が農業に従事していました。20世紀の終わりには2%にまで減っています。それでも、社会全体の失業率は5%前後でほぼ同じです。

農業以外の新しい仕事が生まれたため、テクノロジーの進化によって仕事がなくなったからといって、失業率が40%に達することはありませんでした。

2020年代から始まる第四次産業革命でも今までの歴史をなぞって、デメリットよりもメリットの方が大きい可能性が高いと考えた方が良いでしょう。

さらに「タスクごとに人工知能の進化速度が異なる点」にも注意する必要があります。コンピューターがそのまま一気に人間の代替になるわけではありません。

人工知能が担う「3つのタスク」とは

人工知能と一言でいっても、実際はタスクごとに分かれています。

・四則演算
・自動運転
・文学作品の理解

四則演算については、1960年代にコンピューターが人間のレベルを超えています。電卓の登場によって、私たちは「計算する」という作業をコンピューターに外注できるようになりました。

<【四則演算】人工知能の進化速度>

出典:EY総合研究所

出典:EY総合研究所

第四次産業革命で実現がほぼ確実視されているのが「自動運転」です。2030年頃には、自動車は人間が運転するものではなく、コンピューターが運転するものになっているでしょう。

<【自動運転】人工知能の進化速度>

出典:EY総合研究所

出典:EY総合研究所

この完全自動運転によって社会不安が起きるとは考えにくいと思います。自動車での移動が公共交通機関並みの低料金になります。私たちはAI失業というデメリットを上回る経済的なメリットを受け取ることになるでしょう。

そして、最後にこちらのグラフをご覧ください。

<【文学作品の理解】人工知能の進化速度>

出典:EY総合研究所

出典:EY総合研究所

現時点では人間のロジックやナレッジを再現できる人工知能の到来は、まだ先のことだと考えられています。

例えば、人間はリンゴの落下を見て、重力を発見できました。なぜこのような発見ができたのか? …人間の脳にはまだまだ未解明な謎が多く残っています

今のAI技術は統計的・確率的手法に頼っているのが現状です。そのため、人工知能には今の所、感情がないので、文学作品を読んでも、喜んだり悲しんだりすることはできません。

喜怒哀楽を読み取る人工知能は、例えば「人間は怒っている時、こういう動作をする傾向が強い」というふうに統計的・確率的手法で検知しているだけです。人工知能に感情があるわけではありません。

Next: 人間の労働は今後、よりクリエイティブな方向へシフトする

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