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日本財政破綻!その時あなたが返済中の「住宅ローン」はどうなる?=東条雅彦

「もし日本が財政破綻したら、住宅ローンはどうなりますか?」

さて、ここからが本題です。日本が財政破綻したら、住宅ローンの支払いがどうなるのかを率直に聞いてみました。

東条:
変動金利タイプの住宅ローンのリスクについて、少し気になっていることがあります。

担当者:
はい、なんでしょう。

東条:
万が一…ほぼあり得ない話になるのですが(※)、日本政府が財政破綻した場合、住宅ローンの支払いはどうなるのですか?
(※)筆者はあり得る話だと思っており真剣モードですが、世間一般的には「あり得ない話」です

担当者:
…え?財政破綻!?いや、それは…具体的にどういう事態を想定されているのですか?

東条:
仮に市場金利が20%になった場合、住宅ローンにはどういう影響がありますか?

担当者:
ちょっと、ちょっとお待ちくださいね。

~約1分間の保留~

担当者:
えーと、すみません。仮に市場金利が20%になった場合ですが、フラット35の固定金利1.10%はそのまま維持されます。

東条:
それは、何があっても大丈夫なのですか?

担当者:
はい、フラット35(固定金利)は大丈夫です。しかし、変動金利の方は確認したのですが、金利の上限はありません。
※この回答は正確ではありませんでした。本ページ後半「住宅ローンの窓口担当者は日本財政の持続性を疑っていない」で解説しています

東条:
すると、市場金利が20%になったら、住宅ローンの金利も20%になるということですか?

担当者:
上限がないので、そうなってしまいます。ただし、5年ルールというのがありまして、5年間は毎月の返済額は固定となります。もう1つ、125%ルールというものがあります。そのため返済額は、変動金利の適用金利の期間内は125%(1.25倍)までしか上昇しません。

東条:
毎月の返済額がその5年ルールと125%ルールで抑えられたとしても、借金の総額は増える方向になるんですよね?

担当者:
おっしゃる通りです。5年ルールや125%ルールで毎月の返済額は抑制されますが、その間の適用金利は上昇します。適用金利の見直しは年2回となっています。毎月の支払い額は元本返済分と利息分の2つに分けられるのですが、利息分の割合が増えて、元本返済分の割合が減ります。そのため、借金の総額が増え、返済期間が長くなっていきます。

東条:
わかりました。うーん、でもこれって、今後、金利が上昇してしまう場合、圧倒的に固定金利の方が有利ですよね?

担当者:
お客様のように金利上昇が心配な方は、フラット35を選択される傾向にあります。

東条:
実際、変動金利と固定金利では、申し込む人はどちらが多いのですか?

担当者:
変動金利か固定金利かで悩まれる方は多いのですが、申し込みの数で言えば半々になっています。

日本の財政破綻で得をするのは固定金利派

私は大変、衝撃を受けてしまいました。

確かに、変動金利がここまで下がると、その誘惑に負けてしまいそうになります。25年ローンで借入額が2000万円の場合、毎月の支払額が約5,300円(76,283円-70,994円=5,289円)も違ってくるからです。

固定金利で住宅ローンを組んでいる人から見ると、この5,300円は、財政破綻時の保険代(一種のCDSのようなもの)になっています。固定金利派は、日本財政に懸念が生じて金利が急上昇した場合、莫大な保険金がもらえるようなものだということです。

仮に固定金利の契約でローン残高が2,000万円の場合、2倍のインフレが起きれば、実質的なローン残高は1,000万円に圧縮されます。つまり、1,000万円の保険金を受け取るのとほぼ同義となります。

住宅ローンの窓口担当者は日本財政の持続性を疑っていない

なお、先ほどご紹介した電話のやり取りでは「市場金利が20%になったら、変動金利タイプの住宅ローンも20%になる」と言われましたが、後から調べてみると、この回答は間違いであることが判明しました。

利息制限法の上限が金利15%までとなっているので、この法律が変わらない限り、15%を超えることはありません。

実は今回、合計3人の窓口担当者に住宅ローンについて相談をさせていただいたのですが、3人とも、この利息制限法の上限15%を認識していませんでした。現時点では、日本政府の財政破綻を疑っている担当者は、ほとんどいないのだと思われます。

であれば、「市場金利が20%になったら、住宅ローンはどうなるか?」という質問にも、即座に回答できなくて当然です。これは世間一般的にはいわゆる「トンデモ質問」の一種であり、私のように住宅ローンの「あり得ないリスク」をこと細かく確認する方が悪いのだと認識しています。

担当者に教えていただいたことも含めて、次ページで、変動金利住宅ローンの「4つのルール」をまとめてみましょう。

Next: 知らないと大変なことに! 変動金利住宅ローン「4つのルール」

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