農村部は「嫁を買う」という人身売買同然の有様に
問題の焦点は、農村地域の貧困ぶりからすれば、彩礼の価格があまりにも高くつり上げられている点である。
中国中央テレビが今年2月に陝西省農村部で行った「天価彩礼」の実態調査によると、たとえば同省楡林地区の彩礼相場は、新郎の家の裕福度によって10万元から20万元となっており、宝鶏、隴県などの地域でも相場がほぼ同じである。
そして全省の農村部を平均すると、彩礼相場は10万元程度となっているが、それは、陝西省農村家庭の平均年収の10倍以上にもなる金額である。
年収の10倍以上、日本の感覚でいえば、数千万円以上のお金を出して嫁をもらうことになろう。もはや「人身売買」同然の世界である。実際、上述の陝西省農村地域では、「嫁を買う」というのが日常的慣用語となっているありさまである。
沿岸に近い安徽省の場合、彩礼のことで今はやっているのは「万紫千紅」である。中国の人民元は、五元札は紫色を基調とし、百元札は紅色となっているから、「万紫千紅」とは要するに、五元札1万枚、百元1,000千枚、総計15万元。それが彩礼の相場である。しかも、銀行の振り込みでは駄目で、新郎の家は実際に、「万紫千紅」の札束を新婦の家まで運んでいかなければならない。
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