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楽天はFREETEL買収費用を回収するのにどの程度時間がかかるのか?=シバタナオキ

楽天がMVNO事業を展開するFREETELを5億2,000万円で買収するという発表がなされました。楽天の狙い、双方のメリットについて詳しく見ていきます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2017年10月10日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

契約回線数「第2位」に躍り出る楽天。双方のメリットと戦略とは

楽天、MVNO事業の「FREETEL」を買収

先日、楽天がMVNO事業を展開するFREETELを5億2,000万円で買収する、という発表がなされました。

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今までMVNO事業を度々取り上げてきたこともありますので、今回の買収を少し詳しく見てみたいと思います。

楽天・FREETEL双方にとってのメリット

双方のメリットを考えてみましょう。

まずは買収する側である、楽天のメリットを考えてみたいと思います。

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こちらの記事にある通り、MVNO業界では、楽天は2017年3月時点で回線数は78万回線で、シェアが3位となっていました。

一方でFREETELは、43.3万回線で第5位となっています。この2社を足すと121.3万契約になり、2位のIIJを抜く計算になります。そして、NTTコミュニケーションズも十分に捉えられる位置に自社のポジションを置くことができます。

楽天としては、既にMVNOビジネスが収益化できる目処が立っている中で、マーケットシェアを増やすための買収だった、と考えるのが正しいでしょう。

一方で、FREETELを有するプラスワン・マーケティング社側のメリットを考えてみたいと思います。

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こちらは今回分割されて楽天に譲渡される国内MVNO事業の貸借対照表になりますが、見ていただければわかる通り、売上43億円の事業に対して、流動負債が約30億円もあり、かなり資金繰りが苦しかったのではないかと考えられます。

プラスワン・マーケティング社の全体の財務は詳しく開示されていませんが、このMVNOへの過剰な投資のせいで、ユーザー数こそ増えてきたものの、経営状態、特にキャッシュフローが相当厳しかったのではないかと考えられます。

買収金額の5.2億円という金額を見ても、どちらかと言うと買い手に非常に有利な交渉だったことは容易に想像できます。

Next: FREETEL事業に存在する負債を考慮した「実際の買収金額」は?

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