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日本をダメにする、「保護主義」を忌み嫌うパブロフの犬たち=内閣官房参与 藤井聡

保護主義は「過激」ではない。自由貿易と保護貿易のメリット・デメリットとは

――ただし、よくよく考えれば、この「保護主義」は、決して滅茶苦茶なエキセントリックな過激なものでもなんでもありません。

そもそも貿易政策の方針を、

保護貿易 <------> 自由貿易

の二元論で考えるとするなら、完全な「保護貿易」の国も、完全な「自由貿易」の国も、この世には存在する筈はありません。

保護にも自由にもそれぞれメリットデメリットがあるのですから、「超極端国家」は、捨て去った一方の考え方のメリットを受けることができず、結局は、大きく衰退せざるを得なくなるからです。

自由貿易のメリットは、自由な交換を通して、各国の長所短所を補いながら、万国が世界中の財やサービスを共有でき、より強い国のより強い産業がさらに発展していくところにあります。そのデメリットは、それが過剰になれば、弱肉強食が横行し、より弱い国のより弱い産業が育成できなくなると同時に、雇用が失われ、挙げ句に需要が縮小してデフレ化していくところ――にあります。

一方で、保護のメリットとデメリットは、ちょうどその「逆」になります。

だとすれば、それぞれの国の繁栄、さらに言うなら、世界の繁栄のためには、状況に応じた保護と自由の「バランス」が必要だということになります。
(※折りしも、世界的な需要不足が指摘され続けている今日、デフレ圧力を高める「自由」に修正を加え、幾分「保護」を重視する方向に舵を切るのは、極めて理性的な当たり前の対応だと言うことすらできます)

いずれにせよ、保護が悪で自由が善であるわけでもなく、保護が善で自由貿易が悪、というわけではないのです。もしも「善」があるとするなら、「保護と自由のバランス」こそが「善」なのであり、「保護と自由のアンバランス」「保護の過剰」「自由の過剰」こそが「悪」だということになります。

この様に考えれば、今回のトランプの「保護主義」の宣言は、「保護と自由のバランス」において、「過剰」な自由貿易に「修正」を加えて「保護貿易」を幾分重視する側にリバランスを図ろうとする宣言だ、という実態が浮かび上がります。

そもそも、トランプとて完全な鎖国をするとは一言も言ってはいませんNAFTAをはじめとした様々な貿易協定を、一つずつ「見直す」と言っているに過ぎないのですから。

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