好調なスタートを切った日米株式市場だが
トランプ大統領誕生を過度に警戒し過ぎて相場に乗り遅れた2017年の反省からなのか、2018年は多くの投資家がスタートと共にダッシュをかけるという「膾吹きに懲りて羹を飲む」かのような展開となった。
2018年大発会で日経平均株価が741円39銭高と1996年以来22年ぶりのロケットスタートを切った日本を追いかけるように、NYダウも2018年に入って12日までの9営業日のうち7回史上最高値更新を記録するという好調なスタートを切った。
トランプ大統領が就任した2017年1月20日以降(248営業日)NYダウの史上最高値更新は77回目で、史上最高値が更新される確率は31%強と実に3営業日に1日のペースで史上最高値を更新してきた計算になっている。特に9月以降から年末まで82営業日では36回、約44%の確率で史上最高値を更新しており、年末に向けて上昇基調に拍車がかかっていることが鮮明となっている。
2017年のNYダウの年間上昇率は約25%と、日本がバブルの絶頂にあった1989年の年間上昇率約29%には及ばなかった。しかし、1989年(249営業日)に日経平均株価が史上最高値を更新したのは68日と、史上最高値更新確率は27%強だった。こうした点にも「トランプ相場」が稀にみる力強いものだったことが表れている。
ファンドマネージャにとって厳しい年になる
ファンドマネージャーにとって強いベンチマーク(BM)は最大の敵である。特にポートフォリオ構成がBMに近付くという宿命を抱えている資金規模が大きいファンドのファンドマネージャーほど、厳しい状況に置かれることになる。
日本で運用先進国と思われている米国だが、パフォーマンスのいいファンドにお金が集まるという順張り傾向の強い国でもある。それは、戦後、ブラックマンデーやリーマン・ショックなど短期的な暴落に見舞われたことはあるものの、トレンドとして下落したことがない国の特徴でもある。
2017年はNYダウが約25%の上昇を記録する一方、ヘッジファンドIndex(Eurekahedge North American Hedge Fund Index)のパフォーマンスは6.6%とNYダウの上昇率の4分の1程度にとどまった。
こうした状況から想像されることは、2018年はヘッジファンドなどのアクティブファンドよりもインデックスファンドに資金が集まりやすいということだ。それはアクティブファンドのファンドマネージャーにとっては競争相手が一段とパワーアップすることを意味するものでもあり、2018年も厳しい年になるという覚悟を強いられるということである。
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