ケース4:兄弟姉妹が相続人となる可能性が高い
通常、相続権を有する方には、どんなことがあっても相続できる最低限度の相続権、遺留分が認められています。しかし、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。
つまり、兄弟姉妹に財産を渡したくないのであれば、遺言書に書くだけで済むのです。
しかし、兄弟姉妹に財産を渡してもいいという考えだから遺言書は準備しないでいいというものでもなく、特に被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となるケースでは対策が必要になります。
相続財産の中で自宅不動産の占める割合が多いと、兄弟姉妹へ相続させる財産を渡すことができず、泣く泣く、長年住んできた自宅を売ってお金にして、兄弟姉妹へ相続させるといった結果になり得ないのです。こうならないためにも、兄弟姉妹が相続権を有する可能性がある場合には、遺言書を準備しておくことをオススメします。
ケース5:特定の相続人に財産を渡したくない
どんな理由があろうと、相続人となる立場の人間が1人でも欠けたまま遺産分割協議を行えば、その内容は無効となります。つまり、遺言書を準備し、財産を渡したくないといった意思表示を行う必要があるのです。
しかし、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分が認められていますので、遺留分に配慮した相続方法を考えるようにしましょう。
遺言書は、あくまでも相続人に対しての意思表示をする手段ですので、遺言書を準備したから、当該相続人に財産を渡さなくて済むわけではありません。
つまり、確実に相続権を発生させたくないのであれば、次に挙げる対策を講じなければなりません。
<対策1:相続廃除>
相続廃除要件に当てはまれば、相続廃除対象者として、相続人としての立場を消滅させることができます。
<対策2:遺留分を放棄してもらう>
遺留分の放棄は、当該相続人がご自身の意思で手続きを行う必要があります。ちなみに遺留分の放棄は、相続開始前でも開始後でも可能です。
<対策3:相続放棄をしてもらう>
これも遺留分の放棄と同様、当該相続人がご自身の意思で手続きを進める必要があります。ただし、相続開始後でなければ手続きを進めることができませんので、注意が必要です。
ケース6:特定の相続人に財産を多めに渡したい
今度は、多めに渡したいケースです。遺言書がなければ、原則、法定相続分に応じた遺産分割方法となりますので、特定の相続人に財産を多めに相続させたいという気持ちが少しでもあれば、遺言書を準備しておきましょう。
仮に、特定の相続人に対して、多め相続させると伝えておいたとしても、口約束だけではなんの効力もないので注意が必要です。
また、遺言書では財産の分け方を淡々と書き記すのではなく、なぜ相続分に差があるのかをしっかり明記し、また相続人一人一人に向けたメッセージも描き記すようにしましょう。
こういったメッセージのことは、付言と言いますが、付言があったためにトラブルを避けられたといったケースも数多くありますので、遺言書を書く際には必ず付言を残しておくようにしましょう。
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