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2万1000円越えはいつ?日経平均株価の水準メドを判断する3つのシナリオ

日経平均の具体的な水準のメドをつけるには?3つのシナリオ

ところで、株価は上記の年初来の動きで明らかなように先行きの見通しに基づいて決定されます。

ここでは理論株価を以下のように規定しますので、理論株価は業績としての予想EPSと米ドルをどのようにみるかで変わり、それに伴って日経平均の妥当な範囲も変わります。

日経平均の理論値=─3630+74.66*【予想EPS】+101.52*【米ドルレート】

そこで、先行きの業績と為替の見通しによって理論株価が実際にいくらになるのかをみてみましょう。

足元の日経平均ベースの予想EPSは142円(*)、米ドルは123円です。

以下で、業績については(1)現状の142円が維持される、(2)今後、通貨波乱など外部環境の悪化によって10%の減益になる、(3)そうした波乱はなく、順調に10%程度の増益が実現するーーの3通りの場合を想定します。

同様に為替については(1)足元の123円が維持される、(2)通貨波乱などで5円の円高となる、(3)米国の金利上昇などにより5円の円安となるーーの3通りを想定します。

下の表は、横方向に米ドル、縦方向に予想EPSとって、それぞれ3通り、合わせて9通りのケースに対応する日経平均の理論株価を一覧したものです。

業績・為替の想定による理論株価一覧

業績・為替の想定による理論株価一覧

現状の業績と米ドルに対応する理論株価は黄色の枠内で示され、1万9458円となります。

当講座執筆時の7月1日の日経平均は2万300円台ですが、これは、米ドルが123円で現状、業績が10%増益のケースである緑色の枠にある2万503円にほぼ相応します。

足元、市場は、為替は現状維持、業績は増益を見込んでいると言えそうです。

以下で、表の左上と右下のスミになる典型的な悲観・楽観ケースを見てみましょう。

左上のスミは、例えば、今後、ギリシャ問題がさらに深刻化して為替市場が動揺、安全資産としての円が買われて為替が5円の円高になる。それによって業績も10%の減益と低迷することを見込む悲観ケースで、この場合は日経平均は1万8000円を割り込みます。

その逆に右下のスミは、ギリシャ問題が落ち着き、市場が安定を取り戻す中で米国金利が上昇、それによって為替が5円程度の円安に振れ、業績も順調に増益基調を辿るとする楽観ケースです。この場合は日経平均は2万1000円を超えます。

ただし、実際の相場の評価については、これらのケースごとの値を一点で押さえるのではなく、この値を中心に平均変動幅を上下にとり、その範囲内を妥当な水準とみなします。

不安定な相場環境で先行きの見通しが難しいとき、こうした想定を立てることで具体的に相場水準のメドをつける理論株価をご参考にされてはいかがでしょうか。

筆者プロフィール:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

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投資の視点』(2015年7月2日号)より一部抜粋

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