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シリア毒ガス使用もその報復も「米国の自作自演」。ロシア悪魔化計画の結末は=高島康司

シリア政府軍の犯行だとは考えにくい

他方、独立系の多くの調査ジャーナリストからは、今回の攻撃に化学兵器が使用されたとしても、それがシリア政府軍の犯行とはどう見ても考えられないとしている。

その根拠だが、第一に、かつてはアルカイダ系のイスラム原理主義勢力に占領されていたダマスカス近郊の東グータ地区は、その90%がシリア政府軍の支配下にあり、化学兵器を使った攻撃を行う必然性がまったくないこと。

また、唯一抵抗していたイスラム原理主義の反政府勢力は、シリア政府軍に実質的に武装解除されており、東グータからバスで撤退中であった。完全に勝利しつつあったこのような状況で、シリア政府軍があえて化学兵器を使用するとはどう見ても考えられない。

これはシリア政府軍の仕業であるどころか、アメリカに支援されたイスラム原理主義勢力による自作自演の可能性が極めて高いことは、3月にロシアが行った警告から明らかだ。

いわば今回の攻撃で、ロシアのこの警告が実質的に証明された格好だ。当メルマガの第478回の記事にこの警告を掲載したが、再度、見てみることにしよう。

<さらに進むロシアの悪魔化>

ロシアとシリア政府を悪魔化するさらなる策謀が明らかになった。3月17日、ロシア国防省は、アメリカ軍がイスラム原理主義系の反政府勢力に毒ガス兵器を提供して使用させ、これがシリア政府軍の攻撃であるかのように見せかけ、これを口実にアメリカ軍がシリアを空爆する口実にする作戦が進行しているとの発表を行った。

3月初め、反政府勢力が支配し、非武装地帯に属するシリア南部の都市、デラに化学兵器の実行部隊が配備された。化学兵器はすでに人道援助を行うNGOの手によって偽装され、運び込まれているという。

さらに、同様の化学兵器はシリア北西部でトルコ国境に近いイドリブにも人道援助組織、「ホワイト・ヘルメット」の手によって持ち込まれ、アルカイダ系の「ジャバハット・アルヌスラ」によって攻撃が準備されているとした。

ロシア国防省は、化学兵器による攻撃が反政府勢力の手によって実行されると、アメリカはこれがシリア政府軍による攻撃であるとして、これを口実にシリア政府軍を標的にした空爆の実施に踏み切る可能性が高いとした。現在アメリカの空母機動部隊はペルシャ湾、紅海、地中海に展開しているので、シリア政府軍の空爆はこうした空母から行われる見込みだ。

昨年の12月、ロシア軍の主要部隊はシリアから撤退した。しかし、ロシア軍の残存部隊はシリア政府軍を引き続き支援しており、反政府勢力の拠点となっている東グータ地区などの空爆に参加している。こうした状況で化学兵器が自作自演的に使用され、それをロシアが支援しているシリア政府軍のせいにすると、アメリカ軍の空爆が行われる絶好の口実となる。

ロシアはこうした状況を見越して、もしアメリカ軍の攻撃でロシア軍が被害を受けた場合、即刻報復すると声明した。

ロシア軍が3月に行ったこの警告を見ると、まさに予測していたような状況が進展しているのが分かる。

Next: 厳戒態勢に入ったロシア軍。今回の報復攻撃はいったん終了したが…

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