5月31日の党首討論で、国民民主党の玉木共同代表は「モリカケ」に一切触れませんでした。討論後には安倍首相とがっちり握手。野党がこれでいいのでしょうか?(『三宅雪子の「こわいものしらず」』三宅雪子)
※本記事は有料メルマガ『三宅雪子の「こわいものしらず」』2018年6月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
元衆議院議員。玉川学園女子短大、共立女子大学を卒業。テレビ局勤務を経て、2009年群馬4区で民主党から立候補し、比例復活当選。現在は、執筆やネット配信、福祉や介護のアドバイザーなどをしながら政治活動を行っている。
政界に蔓延する謝ったら死ぬ病。野党が追求しないで誰がやるのか
党首討論で「モリカケ」に一切触れず
5月31日党首討論で、国民民主党の玉木共同代表は「モリカケ」に一切触れませんでした。討論終了後、安倍総理は満面の笑みで玉木代表に近づき、がっちり握手。2人はそのまま抱き合いそうに見えたほどでした。相思相愛?
それを見てしまった私。「目が! 目が潰れる!」と叫んでしまいました。この1年の野党、特に国民民主党(現)の議員の頑張りは何だったのか? いきなりの戦い放棄。唖然としたのは私だけ?
安倍総理が死ぬほど嫌いなのは「モリカケ」の追及。それをしなかった玉木氏は、安倍総理にとっては天使のような存在に見えたでしょう。
様々な新事実が出てきて、現在の安倍総理は崖っぷちです。そんな中、あえてその嫌な話題を避け、安倍総理に救いの手をさしのべた野党党首。
「玉木くん(モリカケ訊かないでくれて)ありがとう!」安倍総理の安堵の表情はそう語っていました。討論が終わった瞬間に即座に玉木代表に駆け寄った様子から、露骨に嬉しいことが感じとれました。
突然にそんな国会三文オペラを我々は見せられることになってしまったわけですが、ショックを受けたのは私だけでしょうか?
野党は「何でも反対」でいい
満面の笑みの玉木代表に対して、偶然に映り込んだ立憲民主党の長妻昭議員の苦虫を噛みつぶしたような表情。あれを撮影していた社があったら賞を取れるのでは? それぐらい象徴的なシーンでした。
30日夜、気落ちしながら、吉田徹さんの著書『「野党」論:何のためにあるのか』(ちくま新書)を読み返しました。
野党とは、英語で「オポジション」と言います。「オポジション」とは原義では「反対勢力」という意味です。
まず、民主主義で野党に期待される役割は、まず権力に与っている与党に対して異議申し立てをすることなのです。
とあります。そうです。かつて「何でも反対…党」と言いましたが、野党は「何でも反対」でいいんです。
野党の役割を考えなおすべき
野党の役割とは何か、もう一度考えて欲しいと願います。与党もどきは、維新だけで十分です。権力をチェックして法案の不備を指摘し、不祥事があったら追及する。それが野党の役割です。
とはいいながら、野党が反対してばかりいたら国会が滞ります。実際、多くの法案に野党は賛成しています。70%以上ですね(この誤解はかなりあります)。
あとですね。言っておきます。今の野党に武器は少ない。その武器(審議拒否など)を放棄してしまったら、素手で闘うんでしょうか? 今の野党に理想論者はいりません。
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