トランプの保護主義政策がブーメランとなって、米国の失業者を増やす結果になりそうです。経済停滞が懸念されますが、政策撤回もありえるので油断できません。(『週刊 証券アナリスト武田甲州の株式講座プレミアム』)
※本記事は有料メルマガ『週刊 証券アナリスト武田甲州の株式講座プレミアム』2018年7月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
早ければ7月中に一斉解雇が始まる。選挙を控えたトランプは…
ハーレーダビッドソン、生産拠点を米国から移転すると表明
トランプ政権の危うい通商貿易政策を見ていて、そのうちトランプ支持者から犠牲者が出そうだと思っていました。
そうしてみていると。早速、米国魂を代表するようなバイクメーカー「ハーレーダビッドソン」が欧州向けバイクを海外生産に移すと表明しました。
鉄鋼アルミの関税引き上げで1億ドルのコストアップ、さらに報復関税で1台当たりの税負担が2000ドルも増えるからです。
トランプ政権はハーレーダビッドソンを批判し「耐えるべき」と言っています。しかし企業にとっては事業が存続することのほうが大事です。
トランプ失業の波がやってくる
現在はグローバル生産、グローバル販売の時代です。最適地で生産し、販売はグローバルが当たりまえ。
それを推し進めたのが世界的な貿易自由化、関税引き下げ・平準化です。その恩恵を最も享受してきたのが、アップルなどの米国企業。鉄鋼アルミの輸入制限、輸入自動車への関税引き上げは米国企業にとって非常に有害です。
米国のピーター国際経済研究所の自動車関税についての報告書では、輸入関税発動で米国では19万5000人が失業するとのこと。さらに報復関税を受けると62万4000人が失業すると試算しています。
7月に入って実際に輸入自動車への関税が発動されれば、欧州による報復も即実施される見込みです。
早ければ7月中に労働者のレイオフ(一時解雇)が一斉に行われて、「トランプ失業」が大量発生します。
米国経済に大きなブレーキがかかる
8年も続く米国の景気拡大は急ブレーキがかかることも大いにありえます。米国株もそれを見越して動いています。
足元では今年1月につけた最高値2万6,616ドルから2,500ドル安くなり、さらに一段安もありそうな感じです。

NYダウ 日足(SBI証券提供)
ということが、日本株にも波及してきているのです。
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