イラン産原油の締め出しは始まっている
一方、米国の圧力に屈し始めている国もあります。それがインドです。
インド国営石油会社インディアン・オイル・コープ(IOC)は、イラン産原油の代替として、今年11月から来年1月渡しで米国産原油600万バレルを購入したもようです。
インド政府は製油業者に対して、米国がイラン核合意から離脱し、対イラン制裁を改めて発表したことで、イラン産原油輸入の大幅な削減もしくはゼロとなる事態に備えるよう求めています。
すでにイラン産原油の市場からの締め出しは始まっているわけです。
ちなみに、イランの原油輸出相手国では、インドは18%を占めています。インドは2位です。1位は中国で24%です。3位は韓国で14%です。ちなみに、日本は5%です。
中国は対米政策としてイランからの輸入を続けるでしょう。しかし、インドはどうやら米国に従いそうです。
イランで高まる「米国批判」の声
こうなってくると、当然イランからも批判的な声が出てきます。イランのザリフ外相は、「米国がイランの石油輸出を妨げることはできない」と反論しています。
ザリフ外相は「米国人が、あまりにも単純で、不可能な考えを持ち続けるならば、その結末を思い知るだろう」とし、「イランが石油などを輸出しなくなると考えることはできない」としています。
しかし、最終的には米国の戦略は一定のレベルで奏功するでしょう。その結果、イランは着実に弱体化していくでしょう。
着々と進むイランの弱体化
7日のイランへの制裁再開では、金や貴金属取引、自動車関連の取引、じゅうたんの米国への輸出などが含まれています。
イランの外貨収入の中心である原油取引への制裁は11月4日まで猶予期間が続きますが、米政府高官は既に国際企業約100社がイラン市場からの撤退を表明しているとしています。
違反すれば、米国企業だけでなく第三国も制裁対象になり、米国の金融市場から締め出される恐れがあります。
日本は原油禁輸に関して適用除外を求めていますが、米政府高官は「個別の要求についての議論には応じる」とするにとどまっています。
米国政府は、ウラン濃縮完全停止やすべての核関連施設の査察、シリア撤退など12項目を制裁緩和の条件に掲げていますが、イラン側は拒否しています。
米政府高官は11月に見込まれるイラン核合意で解除された石油禁輸の再発動に関して、「イランの石油輸出をゼロにするのが目標」としており、イランの弱体化をさらに進める意向です。