fbpx

告訴も判決も暗号データで?これからの裁判ではブロックチェーンが使われる7つの根拠=高島康司

ブロックチェーンを適応すれば効率化が図れる

いま次の7つの領域で、ブロックチェーンの適用が提案されている。

<その1:スマートコントラクトによる一連の作業の自動化>

権利関係が複雑な契約を結ぶとき、関係団体の利害を代表する複数の弁護士が契約書に署名する必要が出てくる。このような既存の方式では、契約書の締結には弁護士が実際に立ち会わなければならないので、それだけコストがかかってしまう。

このような状況で指定された作業の自動実行機能を実装したスマートコントラクトを導入すると、契約書の内容をブロックチェーンの分散台帳を介して自動的に実行することが可能だ。つまり、ある関係団体が了承した契約書の内容が、事前にスマートコントラクトに指定した内容と合致すれば、自動的に署名されるというシステムだ。このようなシステムを導入すると、契約書の締結に弁護士の立ち会いを必要としないので、コストが大幅に削減できる。

<その2:知的所有権の管理>

動画や音楽などのデジタル配信が一般的になっている現在、どんなコンテンツでも簡単にコピーされてしまい、著作権は実質的に保護されない状況が続いている。このため、作家や映像作家、またミュージシャンなんどのコンテンツの作成者にはほとんど利益が入らない。

ブロックチェーンを活用すると、こうした課題を容易にクリアすることができるシステムを構築することができる。ブロックチェーンによる分散台帳へのデータの記録は、知的所有権と著作権の登録にも使える。これも法律の分野においてブロックチェーンの活用が期待できる領域だ。

<その3:ブロックチェーンにともなう法整備>

もうひとつの領域は法整備である。現行の法律はブロックチェーンのシステムにまったく対応していない。たとえば日本の著作権法では、すべての著作権は文化庁が管理することになっており、著作権の登録を行うためには、文化庁が発行する所定の書式を使用しなければならない。また契約書の署名も、日本では実印が唯一法的に認可された署名であり、ブロックチェーンのシステムによるデジタル署名などは法的に認められていない。

このような現行の法律が改正され、ブロックチェーンのシステムを容認する方向に向かわないと、ブロックチェーンがこの分野で発展することはできない。ブロックチェーンの活用を促進するための法整備が期待されている。

<その4:不動産の登記>

当メルマガの以前の記事でも詳しく書いたが、不動産の登記はブロックチェーンが活用できる重要なエリアのひとつである。

どの国の不動産の登記事務所に行っても、共通の光景を見ることができる。それは、不動産登記のための書類が繁雑に積み上がっている光景だ。特にこれは、過去の登記を管理する十分なインフラが整備されていない新興国でよく見られる光景だ。これらの国々では、訴訟のほとんどが不動産の所有権に関するものである。

もしこの登記簿をブロックチェーンの分散台帳に置き換えることができれば、登記の手間は大幅に緩和される。ブロック化したデジタルデータを相互にリンクさせ、複数存在する分散台帳に書き込むテクノロジーであるブロックチェーンでは、完全な透明性と高い安全性が確保できる。また、スマートコントラクトを使えば、登記に必要となる作業のほとんどの過程が自動化できる。これで登記の手間は大幅に軽減される。

Next: さまざまな支払いにブロックチェーンが使われると…

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー