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「民泊」ビジネスで持ち上がる2つの課題~犯罪対応と物件押し売り=姫野秀喜

旅館やホテルではなく、一般の住居に料金をとって客を宿泊させる民泊(みんぱく)。これまでは旅館業法違反(無許可営業)に抵触する可能性がありましたが、10月に大阪府で民泊に関する条例が可決されるなど、規制緩和へ向けた動きが加速化しています。

外国人観光客の増加で足りなくなる宿泊施設を確保するための新しい取り組みとして注目を集める民泊。しかし、1億円の不動産を所有する大家である姫野秀喜さんは、民泊が本当にビジネスとして定着するにはさまざまな課題をクリアする必要があると指摘します。

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

民泊ビジネスを定着させるためにクリアしなければいけない課題

民泊をとりまく既得権益 vs. 新規参入の構造を知る

本日は、ちょくちょく話題に上げている「民泊」についてです。民泊とは旅館やホテルではなく、料金をとって一般の住居に旅行者を宿泊させることです。

この行為は現状、旅館業法に抵触する可能性が非常に高いので、今のところ知り合いにはおすすめしていないです。無償で宿泊させる場合は問題ないようですが、それでは儲からないので誰もやりませんよねw

この民泊という行為について、旅館やホテル業の方々は昔から反対されていました。ウィークリーマンションが7日以上というのも、それより短期だと既存の旅館やホテルに対して営業妨害になりかねないため、そのような取り扱いになったそうです。

既存の旅館・ホテル vs. 民泊の構造は、いわゆる既得権益 vs. 新規参入の構造です。

似たようなものは、タクシー vs. 白タク(UBER)理髪店 vs. 1000円カットマスメディア vs. インターネットメディアなどなど、例を出せばキリがありません。

このような新規参入の人たちは、既存の人たちの利益と権利を脅かすことから、やり玉に挙げられます。もちろん、既得権益を持つ側の非効率な規制の裏をかいて新しいビジネスが起きるのは仕方ないことなのですが、なぜ、そのような規制ができたかを理解した上で考えないとアンフェアになります。

これらの規制がある理由は、基本的には「公共の福祉」と「消費者保護」ということになるかと思います。

新規参入するなら「公共の福祉」と「消費者保護」の視点が不可欠

例えば、旅館などに受付や台帳管理の仕組みがあるのは犯罪防止と公共の福祉のためですし、食品衛生法や施設の設備や消防対策なども消費者保護のために存在します。

当然、既存企業はそのためのコストを支払っているわけで、そのコストを支払わなくてもよい競合が出てきたら、アンフェアだから叩きつぶそうとするでしょう。

まぁ、これはどちらが正しいというつもりはなく、基本的にはそういう構造ということです。

既得権益は単にぬくぬくと守られているだけではなく、コストを負担しているその見返りに保護されているということもちゃんと見た上で、新規参入する人が増える分には個人的には面白いです。

犯罪の温床にならないのであれば、マーケットが自由になることでより良いサービスが出てくる可能性が高まり、消費者にとっても喜ばしいことと考えられるからです。

民泊を売りにした不動産業者が増加の予感、不動産投資初心者は要注意

なお蛇足かもしれませんが、今後この民泊を売り文句に、マンションを販売する不動産業者が増えそうな予感がします。

マンションに家賃保証をつける場合、民泊可であればほんの少しだけ利回りを上げて出すなど、商品の売り方がより複雑になるかもしれません。

民泊可にすると、普通に賃貸するよりも利回りが高くなるので一見よさそうに映りますが、近隣の住人とのトラブルや、物品の破損などのトラブルが発生する可能性があるのはちゃんと認識しておかなくてはいけないですね。

まぁ、本当に民泊をやるなら管理会社に丸投げせず、自分で全部運営しないとダメだと思います。

一番問題なのは民泊という特殊な高利回りでの運用を前提とした物件は、オリンピック終了後に民泊運営ができなくなったら大赤字になる可能性があるということです。

すでに所有するマンションを自分自身で民泊運営に転用するのでもない限り、業者の売り文句に乗って割高な不動産を買うなど安易に手を出すことのないよう注意したほうがよいと思います。

もちろん、良心的な業者から割安な相場で物件を購入して民泊に参入するぶんには問題ないです。でも実際には何が割高で何が割安か、なかなか素人には分からないものなので、その点は本当に気をつけてくださいね。

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1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』2015年11月6日号より一部抜粋、再構成
※見出しと太字はMONEY VOICE編集部による

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