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2019年はアジアの均衡が崩れる年。消費増税に揺れる日本は生き残れるのか?=俣野成敏

2. 問われる安倍政権の真価

安倍首相にとって、今年は本当に大変な1年になることが予想されます。経済問題に対処しながら、大阪で開かれるG20サミットの議長国としての役目や、来年の東京オリンピックの準備もあります。こうしたイベントもこなし、さらに隣国とも付き合っていかなくてはなりません。

【海外投資家が日本の市場から逃げ出している!?】

俣野:今年はもう、アベノミクスが始まって7年目です。ここへきて、いろいろと負の側面も出始めているようですが、どう思われていますか?

大前:たとえば、アベノミクスの目玉とも言える日銀政策ですが、今年も大発会(1月4日)早々、716億円のETF(上場投資信託)を購入しています。あそこで購入しなければ、市場が絶望して株価の下落が止まらなかっただろう、と言われています。昨年(2018年)1年間の、日銀のETF購入額は6兆5,060億円と、過去最高額に達しています(※3)。とにかくものすごい額です。これだけ買っても株価が上がらない、というのはある意味、異常です。

我々はすでに、日銀のこうした行動に慣れてしまいましたので、買いが入っても驚きませんが、私は過去、こうした買い占めも、それによる結末も見てきています。通常、このように買い進めていけば、どこかのタイミングで暴騰してもおかしくないのにしません。ただし、普通の株などと違って、ETFは仕組み的に、その現象が起きるのかどうか?という疑問はありますが。

1つには、あまりにも手の内が見えすぎている、ということはあると思います。昨年の海外勢の日本株の売越額は5.3兆円と、31年ぶりという高水準でした(※4)。アベノミクスが始まった当初こそ、外国人も積極的に日本株を購入していたものの、いまだに改革の成果がはっきりしないため、2016年より売り越しに転じています。今では外国人が売り、それを日銀がETFを通じて購入する、という流れになっています。

俣野:値が下がる度に「日銀が買い支えてくれる」という期待感で、すでに市場が正常に機能しなくなってきている、という意見もありますよね。

大前:日本は、万一の事態になったとしても「どこからも援軍はない」、と覚悟しておいたほうがいいでしょう。おそらく日銀の政策は、今年も続くと思います。どこかで日経平均株価が2万2,000円とか2万3,000円を付けるタイミングはあるかもしれませんが、あくまでも投機マネー等の影響であって、残念ながら国の成長率などが理由にはならないでしょう。

考えられる最悪なパターンとしては、「日銀の資産購入」という“買い占め”です。もし、日銀の買い占めが臨界点に達し、市場が値崩れを起こした場合は、かなりのダメージも予想されますが、そこまで悲観的な想定はしていません。

安倍首相は、本当は憲法改正に取り組みたかったはずです。前々から「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」、と発言していましたから。けれど、経済がこのような有様ですから、進めるのは難しいと思います。あまり知られていないことですが、実は自民党は、憲法改正を掲げて結党された政党です。憲法改正は、安倍首相の祖父である岸信介氏(※5)の悲願でもありました。しかしまだ、「機は熟した」とは言い難い状況です。

俣野:今年は参院選もありますしね。

《脚注》
※3…日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(JーREIT)の買入結果」
※4…日経新聞2018年12月20日Web版
※5…岸信介氏は安倍首相の母方の祖父で、元内閣総理大臣。岸氏の弟の佐藤栄作氏も元内閣総理大臣。安倍首相の父は元自民党幹事長

Next: 日銀の買い支えで保っている日本市場。日銀の資金はなくならないのか?

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