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世界景気の鈍化は明白、想定以上の水準まで上げた米国株安のリスクを示す3つの指標=江守哲

トランプ大統領は、メキシコ国境の壁建設に80億ドルの捻出を試算

合意がなされるまでは関税は維持され、企業業績や景気への悪影響は続きます。しかし、市場はそれを織り込んでいないようです。第1四半期も同じ状況ですから、業績悪化は不可避なのですが。

一方、トランプ大統領は、議会の承認を得ずにメキシコ国境の壁建設費を確保するため、国家非常事態を宣言しました。民主党は憲法違反として、対抗の構えを示しています。

トランプ大統領は「現在の非常事態の重大性」を踏まえ、軍に支援を求める必要があるとの認識も表明し、「南部国境は現在、中核的な国家安全保障上の権益を脅かし、国家非常事態を構成する安全保障、人道上の危機にある」と指摘しました。

麻薬や犯罪者の流入など、メキシコ国境を巡る問題は容認できないと強調し、「非常事態宣言に署名する」と表明しました。

トランプ大統領は政府機関の再閉鎖回避に向けた超党派の予算案に署名しましたが、予算案には自身が求める57億ドルの壁建設費が含まれておらず、非常事態宣言の発令によって最大80億ドルの費用を捻出できると試算しているようです。

ただし、非常事態宣言については、民主党が提訴する構えを見せているほか、共和党内でも見解が分かれています。民主党上院議員15人は前日、トランプ大統領が他の予算を移し、壁建設費を捻出することを阻止する法案を提出しました。

非常事態宣言を受け、民主党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は直ちに声明を出しました。

憲法の下で議会に付与されている権利に抵触すると指摘し、「議会はあらゆる手段を講じて、議会や裁判所、公の場で憲法上の権限を守っていく」としました。

一方、一部の共和党員も非常事態宣言に遺憾の意を表明しました。トム・ティリス上院議員は解決策にならないと指摘しました。

宣言では、十分な国境の壁建設費用を得られないうえ、訴訟に縛られる可能性があるとしたほか、「左派の大統領が議会を無視しつつ、過激な政策アジェンダを実行するために利用するという新たな前例を作ったことが最大の懸念事項だ」としました。

共和党幹部のリンゼー・グラム上院議員などは支持しました。

NY州のレティシア・ジェームズ司法長官は、トランプ大統領がメキシコとの国境沿いに壁を建設する費用を捻出するために国家非常事態を宣言すれば、法的措置を取る姿勢を示しています。

トランプ大統領はこうした動きを想定したうえで、「私を訴えるべきでない。われわれは最高裁で勝利する」と強調しています。

しかし、ここまでくると、いよいよ苦しい状況に追い込まれたといった雰囲気を自ら作ってしまっているという印象です。大統領選に向けて、よくない状況を自ら招いているといってもよいでしょう。

Next: そんな状況のなか、米国株は今後どのような見通しと言えるのか

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