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世界景気の鈍化は明白、想定以上の水準まで上げた米国株安のリスクを示す3つの指標=江守哲

これまで堅調だった雇用面も頭打ちになっていく可能性

さて、米国の経済指標は軟調になってきました。

1月の鉱工業生産指数は前月比0.6%低下しました。低下は昨年5月以来8カ月ぶりです。自動車が大きく落ち込むなど、米景気の減速が生産活動に影響し始めている可能性が指摘できます。

昨年12月は0.1%上昇に伸びが下方修正されました。1月の前年同月比は3.8%の上昇でした。

設備稼働率は78.2%と前月の78.8%から低下し、昨年7月の78.0%以来の低水準でした。このうち製造業は75.8%と0.7ポイント低下しました。

1月の消費者物価指数(CPI)は前月から横ばいでした。前月の0.1%低下が横ばいに改定されました。横ばいは3カ月連続です。コア指数は0.2%の上昇。前年同月比は全体が1.6%上昇、コアは2.2%上昇です。

これも伸びが明らかに鈍化しています。原油相場の下落が効いてきています。

昨年12月の小売売上高は5,058億2,600万ドルと、前月比1.2%減少し、3カ月ぶりのマイナスとなりました。11月は0.2%増加から0.1%増に改定されました。

全米小売業協会(NRF)が発表した18年の年末商戦(11-12月)の小売売上高(自動車、ガソリン、外食を除く)は前年同期比2.9%増の7,075億ドルでした。

貿易戦争や株式市場の混乱で想定以上に消費者の行動に影響を与えたもようです。

9日終了週の新規失業保険申請件数は前週比4,000件増の23万9,000件でした。また、4週平均は6,750件増の23万1,750件と、昨年1月以来、1年ぶりの高水準を記録しました。

雇用の伸びが幾分緩やかになったことを示しています。これまで堅調だった雇用面も、徐々に頭打ちになっていく可能性がありそうです。

さて、18年12月の米財政収支は140億ドルの赤字でした。経済は堅調だったものの、減税措置により税収が減少しました。米政府の財政悪化が改めて示される格好となりました。

12月の歳出は3,260億ドルと、前年同月から7%減少し、歳入は4%減の3,130億ドルでした。

19会計年度が始まった昨年10月以降、3,190億ドルの赤字となっており、前年同期の2,250億ドルと比べて赤字は拡大しています。10─12月の税収は法人税が前年比17%減、個人からの税収は4%減少しました。

財政悪化はいずれドル安を招きます。それもよくないドル安です。

一方、中国の1月の貿易統計によると、米国向けの輸出から輸入を差し引いた対米貿易黒字は273億ドルと、前年同月比24.7%増加しました。

前月比では8.6%減で、過去最高を記録した昨年11月の356億ドルから2カ月連続で減少しました。1月は米国向けの輸出が前年同月比2.4%減となる一方、輸入は41.2%減と大幅に落ち込みました。

1月の中国の貿易総額は4.0%増の3,960億ドルと、2カ月ぶりに増加に転じました。

輸出は9.1%増、輸入は1.5%減で、貿易黒字は392億ドルでした。

中国は経済活動に大きな影響を与える春節の連休が毎年ずれるため、年初の統計は1-2月分をまとめたうえで判断するのが通例です。

また、中国の2月4-10日の春節7連休の期間中の小売業と外食産業の売上高は、前年比8.5%増の1兆元(1,483億ドル)を超える一方、売り上げの伸びは前年の10.2%を下回り、少なくとも11年以降で最低を記録しました。

中国経済の失速があらためて浮き彫りとなりました。

春節の売上高が1桁台の伸びにとどまったのは05年の統計開始以来で初めてとなり、春節期間中の消費が低迷したということは小売売上高全体の動向を占う上で良くない兆候といえます。

18年の中国の経済成長率は6.6%と過去28年間で最低を記録しており、米中貿易摩擦の影響などで景気の失速ぶりが鮮明になっています。

これまで中国では、政府による財政出動で無理やり景気を支えてきました。今回もすでに景気対策を実施していますが、このようなやり方がいつまでもつのか、きわめて疑問です。

そろそろ、中国経済の本当の姿が見えてきてもおかしくないでしょう。

一方、中国の1月の外貨準備高は3兆880億ドルで、前月から152億ドル増加しました。人民元の上昇が背景です。12月は110億ドルの増加でした。

1月は米中通商協議の進展期待を背景に、人民元は対ドルで2.6%上昇しました。

金準備は793億1,900万ドル相当で、12月末の763億3100万ドルから増加しました。

中国は米国債を手放し、金に資金をシフトさせているもようです。ドル封鎖などの動きに備える動きは、世界の新興国で広がりつつあるようです。

いまのトランプ政権の政策運営を見ていると、そのようなことになってもおかしくなさそうです。それくらい、不透明な状況にあるといえそうです。

【ダウ平均株価:2019年の想定レンジ】
弱気シナリオ2万483~2万3,675ドル、年末2万2,296ドル

【ダウ平均株価:2月の想定レンジ】
弱気シナリオ2万1,619~2万3,290ドル

【S&P500:2019年の想定レンジ】
弱気シナリオ2,183~2,561ポイント、年末2,336ポイント

【S&P500:2月の想定レンジ】
弱気シナリオ239~2,503ポイント

【ナスダック指数:2019年の想定レンジ】
弱気シナリオ4,794~6,871ポイント、年末5,224ポイント

【ナスダック指数:2月の想定レンジ】
弱気シナリオ6,076~6,762ポイント

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本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2019年2月18日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、バックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した日本市場金、原油各市場の詳細な分析もすぐ読めます。

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*株式市場~米国株は想定以上に推移、日本株も辛うじて上昇
*為替市場~ドル円は円高基調、ユーロは軟調
*コモディティ市場~金・原油ともに続伸
◎今週の「ポジショントーク」~想定外の上昇
○ヘッジファンド投資戦略~「ヘッジファンドは物色先を変更」-投資戦略構築のポイント-
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