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金融市場が恐れる「米国本土テロ」の悪夢。2つのリスクシナリオ=子貢

11月16日に起きたパリ同時多発テロでは、マーケットへの影響は限定的との見方が目立ちます。しかし、『本格株式講座 世界情勢最新分析報告書』を配信する子貢さんは、金融市場が真に恐れているのは「海外での米国人殺害」と「アメリカ本土テロ」だと指摘、万一これらが発生すれば流動性は枯渇し、市場の様相は一変すると危惧します。

「金が一番」の魔法が解ける時~米国本土テロで何が起こるか

我が身を切られるまで市場は反応しない

テロについては「見ざる、聞かざる、言わざる」を貫いて頬被りする市場関係者ですが、本当に恐れているのは、「海外で米国人が殺害される」ことと「米国本土がテロの舞台になる」ことの2つです。

金融経済がここまで膨張できたのは、FRBが長年にわたり、さまざまな手段で資金を金融市場に放出し、市場も金融商品を相次いで創出し、資金の受け皿にしてきたから。要は流動性(=余剰ドル)が金融経済に誘導してきたことが、今日の金融経済の隆興に結びついているのです。

ですが、その大前提は「金より大事なものはない」という発想。だからこそ世界規模で社会不安が醸成されようが、景気動向がいかに推移しようが、金融市場は膨らみ続けたのです。

この現実を逆説的に裏付けたのが、例の2008年のリーマン・ショック。それまでにも全米規模で信用不安は進捗していましたが、リーマン・ブラザーズが破綻したことによって金融危機へと深刻化したのはご承知の通りです。

つまり金融経済は「我が身を切られることにのみ、敏感に反応する」性格を有し、これ以外には極めて無関心か鈍感と言えます。

ところが、「金より大事なものはない」と言う前提が間違っていると判明したら、あるいは金融経済を直撃する出来事が起こったら、流動性が一瞬にして枯渇するのは不可避です。

金銭のことを俗に「命の次に大切なもの」と表現し、あるいは「命あっての物種」とも言います。

落命するか、金を全て失うか、いずれかを選べと言われれば、誰だって命を選びますが、生命の安全は保障されているかのように振舞い、「お金が一番」と魔法をかけてきました。

ここで、海外で米国人が、とりわけ米国籍の金融関係者がテロに巻き込まれて死亡したら、米国本土がテロの対象となったら、国内外を問わず米国系金融機関が襲われたら、米国民は大いに狼狽し、その関心は資産運用から国防に移ることは疑う余地がありません。

ドル全面高はまさに「経済テロ」。瀬戸際にある中韓

それでなくとも、利上げ観測に伴うドル全面高は、それ以外の国々にとって経済テロ以外の何ものでもなく、例外は日本だけで円安を満喫していますが、一歩外に出れば暴風雨の最中にあります。

中韓両国では、止まらぬ資金流出に伴い、通貨下落圧力が増大。市場介入で食い止めていますが、いずれその原資もつきます。

韓国は外貨建てで起債して資金調達してきた経緯があり、ウォン安はその調達コストが膨らむことを意味しますし、SDR(特別引出権)採用が「内定」している中国人民元も、売り圧力に負けては「内定」が取り消される恐れがあります。また、それ以前に資金流出で国内経済の流動性が著しく低下しています。

「無秩序」に神経質な金融市場、欧州の「移民・難民」が最重要課題に

また、社会不安は見過ごしても、無秩序には神経質な金融市場にとって、移民及び難民問題で揺れる一方、フォルクスワーゲンの不祥事で経済が失速しかねない欧州はもはや、資金を留まらせる対象ではなく、同時に南米も逃避するに限ります。

ことに欧州は、ECB(欧州中央銀行)が追加量的緩和策を検討している段階で、米国の利上げ見通しでドル高ユーロ安が進展してしまったため、手を打てない状況にあります。

最新の値が1ユーロ=1.06ドル、ここで追加緩和策を実行に移せば、ユーロが一気に値崩れしてしまいます。

欧州が無秩序の危機にあるのは、先のパリ同時多発テロでも明らか。それよりも抱えきれないほどの移民と難民をどう解決するのか、放置しておくと手に負えなくなるのは必至です。

円安が「良い通貨安」である理由。日本がテロの標的になる可能性は?

一般に自国通貨安は、資本流出と(輸入)物価高、更には金利高をもたらすため「悪い通貨安」なのですが、振り返ると過去3年間の円安は例外的な「良い通貨安」で、資本は流出するどころか流入し、長期金利も上昇する筈が低下を続け、物価はデフレを脱却するのが精一杯です。

それだけの価値を国際金融資本がこの国に見出しているから、「悪い通貨安」にならずに済んでいるだけです。

自国通貨安の数少ない利点は、海外資産の評価益が発生し、換算して売り上げが増大し、利益も膨らむことにありますが、それも事業展開している市場が失速しないことが大前提で、今の世界経済で安心して出資できる地域は限られています。

ひるがえって、ドル独歩高の米国にとって、現状は好ましいものではなく、利上げを実施すれば、今回も不動産市況から崩れることは間違いありませんが、リーマン・ブラザーズの役割を担わされるのは中韓企業です。

付言しますと、イラクやシリアでの、いわゆる「イスラム国」への空爆は無意味、今まで効果が無かったのですから、これから攻撃を強めたところで、テロ組織を殲滅できると考えるのは浅はかです。

日本も警戒を怠れませんが、「イスラム国」が手出しする公算は小さいです。

日本でも多数のイスラム教徒が在住していますが、日本人の間に反イスラム感情が広まれば、下手をすると日本が率先して「イスラム国」殲滅に乗り出しかねません

傍観者を強いて敵に回すのは損な話です。

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『本格株式講座 世界情勢最新分析報告書』2015年11月21日号より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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