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子どもがいない夫婦間の相続はトラブルになりやすい?遺言書の準備が大切な理由とは=小櫃麻衣

相続人の相続分は、子どもや孫に移行する

相続では、本来相続人となるべき方がすでに死亡、もしくは相続欠格や相続廃除が認められていると、その相続人の相続分が直系卑属である子どもや孫に移行します。

例えば、相続人が死亡した方の子ども3名だとすると、子ども一人当たりの法定相続分は1/3となりますね。

3名の子どものうち一人が死亡していると、1/3の相続分が死亡した子どものそのまた子ども、つまり死亡したからみた孫に移行するということです。

仮に孫が3名いたとすると、1/3÷3名分=1/9が孫一人当たりの法定相続分となるというわけです。

前置きが長くなりましたが、このような仕組みを代襲相続と呼びます。

つまり、死亡した方の兄弟姉妹が死亡していたとしても、兄弟姉妹に子どもがいる場合には、その子ども、つまり死亡した方からみた甥・姪に相続権が移行するのです。

そうなると、配偶者と甥・姪がセットで相続人となる可能性もあるということになりますね。

しかし、家族関係が希薄化してきている現代。兄弟姉妹とは何年も会っていないという方も多いのではないでしょうか。それでもやはり、相続権の認められる兄弟姉妹、もしくは甥・姪に相続させなければならないのでしょうか。

結論から言うと、配偶者に全財産を相続させる方法は存在します。

それは遺言書を残しておくこと。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になるとトラブルに発展しやすい

しかし遺言書に“配偶者に全財産を相続させる”残しておいたとしても、兄弟姉妹や甥・姪から遺留分減殺請求を受けてしまうんじゃないの!とお思いのあなた。

遺留分の認められている相続人を覚えているでしょうか。

遺留分の認められる相続人は、配偶者・子ども・両親・代襲相続の孫のみ。

つまり、兄弟姉妹や甥・姪には遺留分が認められていないのです。

従って、遺留分減殺請求を行うことはできないのです。

相続では、遺言書に示されている遺産分割方法は、民法で規定されている法定相続分に優先するという原則があります。

ということは、遺言書に“配偶者に全財産を相続させる”と書いてあったとしても、兄弟姉妹や甥・姪が遺留分減殺請求によって遺留分を取り戻す手続きを行うことはできないのです。

逆を言えば、遺言書を残しておかなければ兄弟姉妹や甥・姪に一定額の財産を相続させなければならないということになります。

ご自身に子どもがおらず、配偶者に全財産を相続させたいと思っているのであれば、早急に遺言書を準備しておくようにしましょう。

配偶者と兄弟姉妹、もしくは甥・姪が相続人となるケースでは、トラブルが付きものです。

配偶者からしてみれば、何十年にわたって夫婦で協力して財産を築き上げてきたとの考えが、兄弟姉妹からしてみれば、血縁を重視すべきだとの考えがあります。

両者の考えの違いからトラブルに発展しやすいと言われているのです。

残された配偶者は、血縁のない死亡した配偶者の親族と相続を進めなければなりませんので、大変な思いをすることになるでしょう。

遺産分割協議ではそれぞれの意見が絡んできますので、スムーズに手続きを執り行えるようにするためにも、遺言書は必ず準備しておきましょう。

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