キャッシュレスへの対応で男女差が顕著
キャッシュレスの好き嫌いについて、一般の人を対象に博報堂生活総合研究所が行った調査(2017年11月)を紹介しましょう。
なんと男性では、約半数(49%)がキャッシュレスは積極的に推進すべしとの意見でした。それに対して、女性の半数(51%) が、キャッシュレスに反対なので導入しなくて良いという意見でした(※編注:本稿初出時のデータより。同研究所の追加情報によると、男性は賛成派58.7%、女性は反対派61.5%が正しい集計結果となっています)。
※参考:https://seikatsusoken.jp/report/12063/
男女で正反対の意見が半数を占めたのは興味深いものがありましたが、調査実施時期が2017年11月とかなり前であり、キャッシュレスという言葉さえまだ一般化していない時でしたので、その点は差し引いて考える必要があるでしょう。現在は同じ調査をすると、男性はさらに推進の割合が上がり、女性は反対の割合がかなり減るのではないでしょうか。
消費増税でキャッシュレス決済の場合には5%のポイント還元が行われる予定ですが、その政策が主婦層に大きな影響を与え、キャッシュレス推進派を増やすのではないかとみています。
キャッシュレスを嫌う理由は何か?
調査の中の「キャッシュレス社会に反対する理由のベスト5」を挙げてみると、1位 「浪費しそう」であり、2位「お金の感覚が麻痺しそう」となっています。
第1位の「浪費しそう」は、「使った感覚がない売買は湯水のようにお金を使いそうだから怖い」(女性35才・埼玉県)というのが代表的な考えです。また、第2位の「お金の感覚が麻痺しそう」は「考えなしに買ってしまいそう。現金払いなら減るのを実感でき、考えて買い物ができる」(女性60歳・静岡県)というもので、どちらも家計を預かる女性ならではの率直な意見と言えるでしょう。
オートチャージでキャッシュレス化のリスクに気づく
筆者は、10年以上前からキャッシュレスを実践してきました。最近はビューカードからSuicaへの入金をオートチャージでするようになって、いよいよキャッシュレスを使いこなすという感覚が強くなってきています。
それにつれて、1位「浪費しそう」、2位「お金の感覚が麻痺しそう」という感覚が強くなってくるのも確かです。
オートチャージの設定にしておくと、残高が1,000円を下回ると自動的に3,000円が入金される仕掛けなので、電子マネーで支払っているという自覚がなくなり、それが浪費につながっているとだんだん実感するようになってきました。
ただそれも5年ぐらい経って初めて実感できるもので、はじめの頃はオートチャージの便利さしか認識できませんでした。
その意味で、「キャッシュレスは危ないから拒否するように」と早くから説得するのは難しいのではないでしょうか。かなり経験を経た後で、ずしんと腑に落ちるものですから。
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