赤字が膨らんでいくばかりのオーナーもいる
コンビニと言えば、売れ残って廃棄される弁当などが問題になっているが、本部は「欠品を防ぐために棚をいっぱいにせよ」と指導し、それで売れ残りが出たらオーナーに売れ残り分を負担させる仕組みとなっている。
つまり、本部は大量に仕入れさせて利益を取り、売れ残りはオーナーに押しつけて損しない体制を整えているということだ。売れ残りが出て損をかぶるのは馬鹿げていると仕入れを絞ったら、本部は「契約を更新しない」と暗に威嚇してくる。
では、売れ残りを値下げすることは可能なのか。やってできないことはないのだが、本部はやはり契約を更新しないという脅しでそれをさせないので、事実上の禁止と同じことになっている。
かくして、本部は金を吸い上げる体制を強固に作り上げた。
本部がオーナーから吸い上げる金は「ロイヤリティー」と呼ぶ。ある大手コンビニの本部がオーナーから徴収するロイヤリティーは56%から76%になる。半分以上は本部が吸い上げるということなのだ。
こうやって、コンビニの「本部」はオーナーを徹底的にこき使ってブラック勤務に追い立てていく。
それでオーナーが心身ともに限界に達して潰れたらどうするのか。簡単だ。本部はまた新しいオーナーを見つけてきて、少し離れたところに別の店を出すだけである。そして、またそこで新たなオーナーにブラック勤務をさせて徹底的に収奪していく。
馬鹿馬鹿しくて「店をやめる」という話になっても、「途中でやめるなら違約金を取る」と言ってくる。多額の違約金が払えないのであれば、奴隷労働を自分が潰れるまで続けるしかない。
結局、店をやればやるほど精神的にも肉体的にも追い詰められていき、人手不足や人件費高騰や無理な仕入れと売れ残りなどがすべて重なって、赤字が膨らんでいくばかりのオーナーもいる。
改善されない奴隷制度
これほどまで過酷なブラック勤務を強いられるのがコンビニのオーナーである。しかし、このコンビニのオーナーになりたい人は大勢いる。
コンビニ大手は知名度があるし「大手なのだからアコギなことをしているはずがない」とも思う。オーナー募集の広告や説明会もまたバラ色の説明でいっぱいだ。楽観的な説明を聞かされ続けたら、やってみようと思う人は出てくる。
そして、店の開業費用やら仕入れ等の初期投資を強いられて途中で逃げられない状態にされ、「現代の奴隷制度」という泥沼に落ちていくのである。
オーナーの悲鳴や告発が上がるたびに本部は改善を約束するが、基本的に本部の収奪構造は変わらないのでオーナーは過酷なブラック労働を強いられて消耗品のように捨てられる構図は変わらない。
それならば、どのように立ち回ればいいのか。
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