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本当に事故なのか?ノートルダム大聖堂の火災とスリランカのテロを繋ぐもの=高島康司

激増しているカトリック教会の破壊

もちろん、ノートルダム大聖堂の火災がテロであった可能性を示す証拠はいまのところなにもない。むしろフランス警察と政府は、そのような見方が報道されることにすごく神経質になっており、フランスのみならず欧米の主要メディアもそのような可能性を一切否定している。

出火原因は事故であるとの報道で完全に統一されている。これがイスラム系のテロであるとした場合、極右によるヘイトクライムや報復テロの発生が懸念されるからだ。これを恐れた当局と主要メディアが、そのような報道を自粛しているためだとされている。

しかし、いまだにこれは事故ではなく、やはりテロであった可能性を指摘する声は実は多い

それというのも、2015年くらいからだが、カトリック教会の焼き打ちや打ち壊し、そして十字架やキリスト像などの破壊などの激しい暴力がドイツやフランスなどヨーロッパの主要国を席巻しているからだ。

こうした事件はフランスに集中しており、特に2019年の発生件数を月別に2018年と比べると、なんと25%も増加していた。2月の1カ月だけでも、なんと50件のカトリック教会を標的にした破壊行為があった。

どんな事件なのか?

こうした暴力と破壊がどのようなものなのか、具体的に見て見よう。最近のものを簡単なリストにした。2月に起こったものが中心だ。

<ノートルダム・デ・エンファン教会>

フランス南部の都市、ニームにある「ノートルダム・デ・エンファン教会」がなにものかによって襲撃された。なにものかが教会に侵入し、人糞を使って大きな十字架を書いた。聖体拝領用のパンがゴミとして捨てられていた。

<聖ニコラス教会>

フランス北西部、ウイユにある「聖ニコラス教会」が襲撃された。19世紀に作られ、修復不可能とされていた生母マリア像は粉々に破壊された。また、壁にかかっていた十字架は床に落ちていた。

<ラヴァールの大聖堂>

フランス南部、ラヴァールにある「ラヴァールの大聖堂」では十字架と聖像が粉々に破壊された。また、磔になったキリスト像の腕はキリスト教への嘲笑を示すようなやり方でずたずたにされた。また、祈りに使われる祭壇布が焼かれた。

これらは、2月にあった50件の教会破壊事件のほんの一旦である。50件といえば、毎日なんらかの破壊行為が行われていることを示している。

そして3月には次のショッキングな出来事があった。

<サン=シュルピス教会>

「ノートルダム大聖堂」よりもわずかに小さく、パリで第2の大きさを誇る「サン=シュルピス教会」が火事になった。被害は比較的に少なかったものの、正面のドアから出火しており、炎は天井にまで達していた。歴史的に貴重なステンドグラスが煤にまみれた。

こうした事件はドイツなどでも起こっているが、やはりフランスに集中している。以下が2015年以来、フランス国内で発生したカトリック教会の襲撃事件である。すさまじい数だ。ぜひ見てほしい。
※参考:http://www.yasunoeigo.com/frenchattack

フランス当局の対応

そして、奇妙なのはこうしたカトリック教会を標的にした事件の当局の対応である。暴徒の襲撃では犯人は捕らえられたにもかかわらず、捜査中として発表されない。また火事のときは、早々に事故と断定され、放火の可能性は最初から否定されている。

特に、フランスの歴史のあるカトリック教会は修復の必要があるものがとても多い。しかし、マクロン政権の緊縮財政のため、歴史的な建造物の修復予算は削減されており、建造物が崩壊の危険のある状態に放置されている。フランス当局はこうした状況が、建造物の火事や崩落の原因にあると見て、原因をすべて事故と決めつけているようだ。

もちろん事故のケースもあるだろうが、放火やテロの可能性は始めからないものとして一切報道されない。それというのも、これらの事件が難民として国外から入ってきたイスラム系の過激主義者によって引き起こされたことがはっきりしたのなら、それは白人至上主義者や極右、ネオナチなどの報復を生み、ただでさえ「黄色いベスト運動」で混乱しているフランスを、暴力の渦に引っ張り込みかねないとして警戒しているからだ。

こうした状況を見ると、4月15日の「ノートルダム大聖堂」の大火災は、決して孤立した出来事ではないことが分かる。カトリック教会の火事や破壊が相次ぐ一連の流れのなかで起こっているのだ。

Next: 一連の教会破壊を事故で片付けるのは困難、犯人はだれなのか?

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