日本でも注目されつつあるライドシェアですが、最近、米国市場にUberとLyftの2社が上場しました。今回は、これらそれぞれの違いについて比較してみました。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年4月25日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
上場したてのライドシェア2社を乗車単価で比較すると倍の差が…
Q. UberとLyft、乗車単価が大きいのはどちら?
Uber: $7.69
Lyft: $13.08
今日の記事では、先日IPOを発表したUberを取り上げたいと思います。
つい先月、直接の競合であるLyftも上場したため、この2社の詳細なユニットエコノミクスの比較を行ってみたいと思います。
※参考:FORM S-1 Uber TECHNOLOGIES, INC.
Uberがどういったサービスであるかという点や、赤字の大きさなどはすでに他のメディアでも書かれているかと思いますので、この記事ではUberの本質的な戦略や詳細なユニットエコノミクスを中心に取り上げていきます。
最初に結論を書いておくと、UberとLyftはサービスが似ているので、ユニットエコノミクスも似ているのかと思いましたが、ユニットエコノミクスに大きな違いがあります。ぜひ後半を期待してください。
Uberのグローバル戦略
Uberのグローバル戦略を見ていきましょう。
この地図にあるように、青い部分は自社で直接サービスを提供しています。図の中にある「MS」というのは、Market Share(マーケットシェア)のことで、「CP」というのはライドシェア市場全体におけるシェアを示しています。
Uberを語るうえでさらに興味深いのが地図の緑の部分です。これらの地域では、直接の競合になるサービスを提供している会社の株式をマイノリティで保有しているという点です。
地図の緑の部分は、主にここに挙げられている3つの会社になります。
- 中国のDidiの15%の株式を保有
- 東南アジアのGrabの23%の株式を保有
- ロシアのYandex Taxiの38%の株式を保有
という具合に、自社で直接サービスを提供していない地域に関しては、競合他社の株主になるという形で市場を取りにいっています。
Lyftはアメリカが中心になっていますが、Uberはこのようにグローバルにサービスが展開されているのが大きな違いだと言えるでしょう。
Next: これからのUberの成長を支える戦略とは?