中国ユーザーは個人情報保護よりも特典を優先
中国で信用スコアが一種の社会インフラにまでなった理由としては、スマホのQRコード決済が爆発的に普及したこと、個人情報に対する考え方が欧米や日本とは違って利便性やインセンティブを優先する国民性などがあげられる。
そして、デポジット社会の不便を打ち消したいという、中国国民の庶民レベルのささやかな願いが背景にあるのではないかと私は考えている。
中国では、ホテルを予約したり、飛行機や鉄道のチケットを買う際に、デポジット(保証金)を要求される場合が多い。ゴマ信用のスコアが一定以上であれば、ローン金利が低くなり、限度額が上がることなどに加えて、デポジットの支払いが免除される。
それが中国の人たちにとって個人情報を提供するに十分な動機付けになったのではないだろうか。
Yahoo!スコアに拒否反応を示す日本ユーザー
では、Yahoo!スコアは、どうか。
Yahoo!スコアがモデルとするのはソフトバンクと関係の深い中国のゴマ信用だろうから、すでに紹介したメニューを見れば大体想像はつく。FICOスコアのようなレンディング(金の貸し借り)に限ったものでなく、かなり幅広く生活全般を網羅するものになりそうだ。
こうしたスコアが今の私たちに果たして必要なのだろうか。ゴマ信用のように多くのユーザーに受け入れられるようになるのだろうか。
結論から先に行ってしまえば、現時点では、ゴマ信用のようにポピュラーなサービスとして認知されるには、かなり高いハードルが待ち構えているといわざるをえない。
まず1つ目は、ゴマ信用のように「デポジットが不要になる」といったユーザーにとってのメリットが明確になっていないことだ。
2つ目は、個人情報の保護という面で懸念があることで、これが最も重要な課題であり、高いハードルであるともいえる。
ヤフーは、パートナー企業へのYahoo!スコアの提供は、提供に同意したユーザーのみが対象になり、Yahoo!スコアの作成そのものを拒否することもできる、としている。また、スコアが低いからといってデメリットが生じるものではないことも強調している。
しかし、日本人にとって信用スコアはいわば未知の体験であり、不安も大きい。そのため抵抗感をおぼえ、頭から拒否反応を示す人も多い。