クレジットカードが信用スコアの源
以下では、Yahoo!スコアの課題と可能性を考えるが、その前に、そもそも信用スコアとは何なのかを説明しておこう。
信用スコアの原点はクレジットカードにある。私たちがクレジットカードの会員申し込みを行うと、カード会社は「Capacity(資力)」「Character(性格)」「Capital(資産)」の3Cをもとに審査し、評価、判断を行う。
無事、審査を通ってクレジットカードを利用し始めると、さまざまな個人情報がカード会社に蓄積されていく。氏名、生年月日、住所、電話番号、配偶者、扶養家族などの基本情報に加えて、居住形態、資産や職種、勤務先、勤続年数、役職などの返済能力に関する情報、クレジットの利用履歴や返済実績(信用履歴=クレジットヒストリー)など多岐にわたる。
これをクレジットカード業界では個人信用情報といい、それをカード会社は、整理分類して、審査に役立てている。
アメリカでは1950〜60年代にかけてクレジットカードが本格的に普及していくが、90年代になると、コンピュータと金融工学を駆使したフェア・アイザック・アンド・カンパニー(現FICO:Fair Isaac Corporation)という会社が完成度の高いクレジットスコアを作った。
現在、FICO社は、大手信用情報機関3社(エキファックス、エクスペリアン、トランスユニオン)が集めた情報をもとにクレジットスコア「FICO(ファイコ)スコア」を作成。これがアメリカを中心とした世界各国の金融機関や企業に利用されている。
国民を3つの層に階層化
このようにアメリカで導入されているクレジットスコアは、信用情報機関に集められたクレジットカードの情報をもとに算出される。
とくに重視されるのが、過去一定期間のカードの使用履歴や返済履歴、借入残高や新規借入の有無、クレジットカードの種類などだ。
これらがいくつかの項目ごとに点数化され、合計点数850点満点で、点数に応じて次の3つのランクに分けられる。
- 750点以上=プライム層(ハイクラスのカードを作成可能)
- 660〜749点=一般層(一般的なカードは作成可能)
- 660点未満=サブプライム層(信用力が劣り、カード作成に不利)
平均点は680〜700点といわれ、比較的高い水準を保っており、常識的なカード利用をしていれば、サブプライム層に入る危険性はそれほど高くはない。
サブプライム層になってしまう主な原因は、たび重なる返済の遅れやキャッシング支払いの滞納、さらに限度額ギリギリまでカードを使用するなど、クレジットカード利用における責任感に欠けるルーズな行動だ。
参考までに付け加えておくと、たとえば、利用額を限度額の20〜50%に抑えて毎月必ず使い続ける、カードの所持数は2〜3枚にして万遍なく使う、6カ月間は新しいカードをつくらないなど、細かな点に配慮してクレジットカードを使うとスコアが上がるといわれている。利用者自身の経済力と金銭管理能力の両方をバランスよくアピールするとよいようだ。