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いまこそ日銀が検討すべき「マイナス金利政策先送り」の選択肢=久保田博幸

イエレン米FRB議長はマイナス金利に慎重な見方

イエレン議長は議会証言後の質疑応答で、マイナス金利に関して次のような発言をしていた。

われわれは2010年に、マイナス金利について検討し、緩和促進に向けて上手く機能しないとの結論に至った。すでに実施している欧州諸国などの経験から、われわれはマイナス金利について見直している。なぜなら追加緩和を行う必要が生じた場合に備えておきたいからだ。われわれはまだ評価を終えていない。米国の制度に照らし合わせて機能するか考えなければならない。自動的なものではない。多くの検討事項がある。可能性は排除しないが、機能するかどうか判断するにはやるべきことがある。

イエレン米FRB議長の議会証言要旨(11日) – ロイター

マイナス金利については検討はしているが、米国の制度に照らし合わせて機能するか考えなければならないと慎重な見方をしている。今回の欧州や日本の銀行に与える影響なども評価対象になるとみられる。

いったん16日からのマイナス金利適用を見送る選択肢も

日銀は果たして、マイナス金利が制度に照らし合わせて機能するかをしっかり調査してマイナス金利政策を決定していたのであろうか。決定が5対4と薄氷の評決となったのもその効果に対して疑問をいだく委員が多かったことをうかがわせる。

もしマイナス金利政策の目的が表向きはデフレ懸念の払拭であったとしても、本来の目的が市況対策であったとすれば、完全に裏目に出たことになる。

先日の「マイナス金利政策の功罪」と題する日経新聞の経済教室では、上中下の三部作すべて「罪」に視点が当てられていた。私が5日に書いた同じタイトルのコラムに対しても「罪」がないようですがとの感想をいただいた。

むろん「功」があるとしてECBはマイナス金利を導入して、日銀は16日からマイナス金利の適用を開始する。しかし、結果としての円安株高、さらに債券市場の機能不全への懸念も強まるなか、日銀はいったん16日からのマイナス金利の適用を見送り、3月の金融政策決定会合であらためて導入の可否を検討するという選択肢はないものであろうか。

【関連】個人預金へのマイナス金利適用が「絶対にないとは言い切れない」理由=久保田博幸

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牛さん熊さんの本日の債券』2016年2月12日号より
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