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日韓対立、説明不足で日本が負ける?経済的には有利だが、歴史問題が絡むと非難殺到=高島康司

日本の説明失敗と、歴史問題の国際的認識

もちろん、「従軍慰安婦」や「徴用工」の対する日本の主張にもそれなりの根拠があることは間違いない。だが、こうした歴史問題は、どちらの側が正しいか間違いかではなく、国際的に広く共有される認識の枠組みを作った側に、有利に事態は進展する

「従軍慰安婦」を「性奴隷」とし、「徴用工」を「奴隷労働」とし、これを強制した戦前の日本を非難する認識は、国際的に広く共有されている。日本は歴史問題の説明を何度も試みたものの、国際認識を変えることに失敗している

こうした歴史問題に対する日本への厳しい国際的な認識が、日本のメディアで報道されることはめったにない。多くの日本人が拒否反応を示すからであろう。

しかし、今後の事態の変化に対処するためにも、それがどういうものなのか知っておいたほうがよいはずだ。

<フォーリンポリシーの記事>

日本の歴史認識を問題視し、日本の責任を問う記事は非常に多い。今回は、そのなかでもできるだけ包括的な内容の記事を要約的に紹介する。

今回の日韓対立が激化する前に書かれたアメリカの著名な外交雑誌『フォーリンポリシー』の記事である。決して気分のよい内容ではないが、これが欧米の主要メディアの基本的認識なのだと思う。

ナチスドイツとイタリアと連合して戦争を戦うことになる大日本帝国は、1910年に朝鮮を併合した。そして100万を越える奴隷労働を強いた。この数には性奴隷を強要された女性は含まれていない。リー・チャン・シックは、大変な環境で厳しい労働を強いられた。報酬は支払われていない。彼は他の2人とともに2005年に日本製鋼と住友金属を訴えた。2018年、韓国の大法院でリーは勝利した。

リーのような人々の苦しみは歴史的事実である。それなのに日本はこの問題の解決は韓国政府の責任だとして、日本大使の召還を命じたり、韓国の日本への輸入を規制しようとしたり、日本における韓国政府の資産を差し押さえたり、韓国からの観光客にビザを要求したりしている。河野外相は三権分立の民主主義の原則に反して、ムン・ジェイン大統領に大法院の判決に介入するように要求している。

日本は、1965年に締結した日韓基本条約という国際条約に韓国は違反していると主張している。この条約で日本は韓国に対し3億ドルを支払い、5億ドルの借款を与えることで、戦争犯罪を補償したと主張している。

しかし、これに納得する韓国人は少ない。この条約は元日本軍の将校で、民主的な政権をクーデターで転覆した独裁政権のパク・チョン・ヒ大統領によって締結されたものだからだ。この条約への国民の抗議を抑制するために、パク・チョン・ヒは1965年に戒厳令を敷いた。

また、日本の主張が相当に偏向していることも事実だ。日韓基本条約で個人の賠償請求権が放棄されているのかどうかは疑わしい。日韓基本条約の交渉では、日本は朝鮮併合の違法性は認めていないのだ。

日本が朝鮮併合の違法性を認めていないということは、この期間に日本が犯した犯罪も認めていないということだ。事実、日韓基本条約で日本が支払った金は、補償金ではなく、韓国独立への祝金であると当時の椎名外相は説明していた。

たとえ日本と韓国が日韓基本条約によって、祝金の支払いで補償の義務が消滅したと納得していても、これは国際法上の原則に違反する行為なのだ。国際法の一般原則からして、いかなる政府も条約によって国民の基本的人権を踏みにじることはできないのだ。ウィーン条約では国際法の一般原則に違反する条約は無効であるとしている。日本と韓国はこのウィーン条約を締結している。

日本のpが朝鮮半島併合期に行った奴隷労働は、あきらかにウィーン条約が定める国際法の一般原則に違反している。ウィーン条約では市民への拷問と虐殺とともに、奴隷労働を禁止している。大日本帝国は1925年にこの条約を締結している。ということでは、たとえ1965年の日韓基本条約で被害への補償が放棄されていたとしても、これはウィーン条約違反である。

この見方は特に新しいものではない。1996年、国連の人権委員会は、日本政府は性奴隷の補償を行うべきだと勧告した。1965年の日韓基本条約で個人補償の問題は解決済みだと主張する日本政府に対し、ウィーン条約の原則を適用してこれを退けた。どのような条約によっても、基本的人権の侵害を無効とすることはできないという。

日本製鋼は韓国人徴用工に対して補償すべきだとした韓国大法院の判決も同じ原則に基づいている。日本の立場を支持するものは、国民の基本的な人権が無効にできることを証明しなければならない。さらに、過ちを否定した状況で過ちを解決しなければならない。

日本にとって手っ取り早い解決法は、これは個人と企業間の問題なので、政府は関与しないとすることである。また日本政府が関与したとしても、生存している徴用工の数は少ないので、支払う補償金は1億ドル程度に過ぎない。これは生存しているホロコーストの犠牲者にドイツが支払った700億ドルと比べると、非常に小さな額だ。これで日本は戦前とは異なる国になったことを日本の旧植民地だった国々にアピールできるのだ。

だがその反対に日本は、戦前の日本製鋼が強いた奴隷労働が21世紀の日本にとって重要であるかのように、ヒステリックに反応している。日本はまだ大日本帝国の過去に縛られているのだ。

出典:東京は第二次大戦中の残虐行為を繰り返し弁護する、奴隷労働に対する日本の法的弁明は支持されているとは言い難い – Foreign Policy(2019年5月29日配信)

以上である。この記事の寄稿者は、ナッサン・パクという韓国系アメリカ人の国際弁護士である。国際金融の専門家だ。

しかし、「従軍慰安婦」と「徴用工」をそれぞれ「性奴隷」と「奴隷労働」とし、安倍政権の日本を、戦前の歴史を反省する意志のない国として非難する論調の記事は非常に多い。

記事によりニュアンスの違いこそあれ、歴史問題ではこれが欧米の主要メディアの一般的な論調である。記事の書き手は日系人もおり、さまざまだ。韓国系とは限らない。

記事によっては戦争犯罪人、岸信介の孫で歴史の責任を認めない安倍晋三が首相であるので、問題がこじれているとする記事も多い。

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