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トランプ大統領の関税政策は米国にとって逆効果?ドルは1/2に切り下げざるを得なくなる=吉田繁治

トランプ関税とドル安は、世界の不況を促進する

【ドイツのGDPはマイナスになった】

・輸出が1.33兆ドル(140兆円:日本の1.7倍)、
・輸入が1.08兆ドル(113兆円:日本の1.5倍)のドイツのGDPは、3.66兆ドル(384兆円:日本の0.7倍)です。

GDPに占める貿易額が、日本の約2倍大きい。ドイツとフランスは、歴史的にも中国との関係が深く対中貿易は大きい。これが、トランプの対中関税の余波で減少し、2%から3%は成長していたドイツのGDPは、ついにマイナスになりました(-0.2%:19年4-6期)

ドイツ国内より、中国とアジアに債券と貸付が多いドイツ銀行は、関税で売上が急減した中国企業への債権の不良化に直面しているでしょう。

【日本は、GDPの集計の前にGDPの構成要素である上場企業の利益が15%減った】

日本の上場会社の純利益は、15%減少しています(19年4-6期)。特に製造業が不振です。石油-73%、鉄鋼-56%、非鉄金属-56%、機械-21%、電気機械-74%、自動車部品-21%です。製造業の合計では、純益が-45%(半減)しています。非製造業は+32.8%です。

製造業の減益は、リーマン危機のあとに似ています。10月の消費税増税のあと、景気は下がるでしょう(とくにポイント還元が切れる6か月後)。

世界のGDPは、2019年秋、冬、2020年と、明確に不況に向かっています。対策は、金利がまだ1.5%(短期誘導金利は2%)はある米国の利下げしかない。

しかし、このドルの利下げは、ドル安と米国のマネー不足を招くのです。すでにマイナス金利の欧州と日本には利下げの余地はなく、通貨の増発も大きくはできない。

FRBが米国債を買って、ドルを増発すればいい。そうすると、一層のドル安になり、世界は、米国への貸付金(=米国の対外負債)の36兆ドル(3,780兆円)を売るでしょう。

結果は…大変なドル安に向かいます。米国は、このドル安(ドルの売りの超過)により、大きな資金不足になります。なにせ、対外負債が3,780兆円、GDPの2倍だからです。

【対策も逆転している】

米国には、実はGDPを増やす金融緩和策としては、長期金利の利上げしかない。以前に当メルマガで述べた「長短金利の逆イールド」では、短期金利で調達し、長期金利で運用する銀行の利ザヤがマイナス(運用の赤字)になります。

赤字の運用は、拡大できない。逆に、減らさねばならない。銀行が運用を減らすことは、
・証券(国債、社債、株式)の売りであり、
・長期貸付金の引き揚げであって、企業と世帯からの貸付金のマイナスになります。

負債の臨界点では、金利とマネー量の動きが逆になるのです。

長期金利の利上げ→銀行の長期金利での、証券運用と、貸付の増加
長期金利の利下げ→銀行の長期金利での、証券運用と、貸付の減少

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image by: Gints Ivuskans / Shutterstock.com

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2019年8月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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