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トランプ大統領の関税政策は米国にとって逆効果?ドルは1/2に切り下げざるを得なくなる=吉田繁治

経常収支の黒字=対外的な金融収支の赤字

米国から海外に支払われたドルは、紙幣のままもたれるのはわずかです。

多くが、
・金融機関による米国の債券(国債、社債、株式)買い、
・またはドル預金になるか、
・企業の海外不動産や工場への直接投資、
・あるいはM&Aの株買いのマネーになります。

経常収支の黒字国は、金融収支(マネーの流れ)では、赤字国になるのです。

つまり、経常収支国の赤字は、マネーの流入である金融収支の黒字でファイナンス(海外からお金が払われること)されます。金融収支の黒字とは、マネーが流入することであり、対外負債が増えることです。

逆の金融収支の赤字とは、日本のように、経常収支の黒字として受け取ったドルが、主に米国に行って対外資産が増えることです。(注)中央銀行が、最終的な決済を行う国際収支は、国単位のバランスシートで管理されてるので、こうなります。

【日本の経常収支の、継続的な黒字】

日本のように、米国に対して経常収支の大きな黒字を40年も続けている国では、日本からのマネー流出の残高が、米国にもつ対外資産、つまり証券投資と直接投資になっていて、毎年増えています。

日本は1年に約20兆円、海外にマネーが流出する国です。逆に、米国は40兆円から50兆円が海外からマネーが還流しなければならない国です。マネーは支払い、受け取り、外貨交換として世界をめぐっています。

とくに1990年代から金融経済化した世界の、外為銀行の店頭での外貨交換(外貨の売買)は、1日に約500兆円(世界貿易の100倍)と巨額です。

最終的な決済は、通信のSWIFT手順で、BIS(スイスのバーゼルにある国際決済銀行)で行われています。世界の中央銀行の上に君臨するBISは、対外支払いの決済用の外貨が不足した中央銀行に対して、貸付をする機能ももっています。(注)BISでの決済は、銀行間の手形交換所と同じ、「最終支払い-最終受け取り」を相殺する仕組みで行われています。

【金融収支の赤字の累積は、対外資産になる】

経常収支で約20兆円の黒字を続ける日本は、海外(主は米国)に対して、累積で1,018兆円の対外資産をもっています。

直接投資が181兆円、国債・社債・株式の証券投資と外貨預金837兆円、合計で1,018兆円です。GDPの2倍もの対外資産であり、断然、世界1位です。一方、海外(主に米国)が日本に投資した対外負債は、676兆円です。対外純資産が341兆円です(2018年末:財務省)。この341兆円は、日本から海外への、マネーの純流出の累計残を表します。
※参考:平成30年末現在本邦対外資産負債残高の概要‐外務省(2019年5月24日公開)

Next: 米国の収支が増え続けている…残された最後の対策とは?

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