fbpx

「マイナス金利」の現状を、如何にすれば活用できるのか?=藤井聡・京大大学院教授

ところでここで一つ強調しておきますが、JRにカネを貸すのが「国」だから、JRはゼロ金利で資金を調達できるのだ、という点を忘れてはなりません。

PFIやコンセッションと呼ばれるスキームでは、カネを貸すのが「民間のファンド」である事が一般的です。そんな民間ファンドは、「利ざや」を稼ぐ事が目的で、資金を貸し出すわけですから、ゼロ金利や超低金利で資金を貸し出すことなどあり得ません(いわば、高利貸し、という業者に近い存在ですね)。仮にあったとしても、国がそれをやれば、さらに安い金利を設定することができるに決まってます。

何と言っても、民間ファンドは「儲けたい」からカネを貸すのですから。国は儲けたいからカネを貸すのではなく、カネを貸すことが国民の利益につながると考えている(はずな)のです。

以上、今日は「好むと好まざるとに拘わらず、実施されているマイナス金利政策を活用するにはどうしたらいいのか?」という視点で、一つの試論をご紹介しました。

筆者がここで論じたもの以外にも、「マイナス金利」を活用した「国益に叶うプロジェクト」はさまざまに考えられるに違いありません。とういよりもむしろ、そうしたプロジェクトを考えなければ、マイナス金利という政策は、デメリットだけを国民にもたらしかねぬリスクを背負うものです。

この状況から、日本経済が復活する道を探ることは決して不可能ではないはずです。これからも様々な方々と議論を重ね、意見交換を通じながら、日本経済復活に向けた取り組みについて、考えてまいりたいと思います。

【関連】安倍政権「マイナス成長は暖冬のせい」の大ウソをデータで暴く=三橋貴明

1 2 3 4

無料メルマガ好評配信中

三橋貴明の「新」日本経済新聞

[無料 ほぼ日刊]
●テレビ、雜誌、ネットで話題沸騰!日本中の専門家の注目を集める経済評論家・三橋貴明が責任編集長を務める日刊メルマガ。三橋貴明、藤井聡(京都大学大学院教授)、柴山桂太(京都大学准教授)、施光恒(九州大学准教授)、浅野久美(チャンネル桜キャスター)、青木泰樹(経世論研究所 客員研究員)、平松禎史(アニメーター・演出家)、宍戸駿太郎(國際大学・筑波大学名誉教授)、佐藤健志(作家・評論家)、島倉原(評論家)、上島嘉郎(ジャーナリスト/元「正論」編集長)などの執筆陣たちが、日本経済、世界経済の真相をメッタ斬り! 日本と世界の「今」と「裏」を知り、明日をつかむスーパー日刊経済新聞!

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー