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中小企業のコンサルニーズを掘り起こし、山田コンサルティンググループは成長できるか=栫井駿介

人員の増加により利益の伸びは鈍化

同社の拡大意向は、従業員数の推移を見てもわかります。この5年でおよそ2倍に増えているのです。

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コンサルティング会社は人がすべてですから、事業拡大のためには当然人員の拡充が必要となります。

一方で、人員が増えるということは、それだけ固定費が増加するということでもあります。

近年の利益の伸びは売上高の伸びに対して緩やかです。直近の業績は減益となっています。想定していた売上が間に合わなかったということですが、人員の増加はこのように減益となる可能性をはらんでいるのです。

また、M&Aも買い手がいなければ成り立ちません。景気が良いときは買い手の意欲も増しますが、悪いときには極端に減少します。つまり、景気連動の側面があり、このような会社も景気後退から逃れることはできないのです。

すなわち、長期的に見れば拡大傾向にある中小企業のM&Aも、一時的には縮小する可能性があります。そうなれば、人件費が重荷となり赤字になる可能性もはらんでいるのです。

景気後退があれば影響は避けられないが、長期的に見れば伸びる余地あり

もっとも、同社はM&Aだけでなく幅広いコンサルティングメニューがあるので、その時々に応じたニーズに応えることができるでしょう。リーマン・ショック直後も、経営コンサルティング事業の売上は増加しています。

もし仮に赤字に転落するようなことがあっても、財務内容は非常に健全です。借金はゼロで、80億円の現預金を有しています。経営に窮するようなことは考えにくい状況です。

以上より、景気後退によってM&Aニーズが一時的に減少する可能性はありますが、長期的に見れば中小企業へのコンサルティングニーズは増える傾向で、軌道に乗ればここからさらに業績を伸ばすことができる会社と言えます。

そのような状況で、PERは16倍と決して高くない水準にあります。株価は2月の東証一部上場後息切れ感がありますが、仕込むタイミングとしては決して悪くないのではと感じます。

山田コンサルティンググループ<4792> 週足(SBI証券提供)

山田コンサルティンググループ<4792> 週足(SBI証券提供)


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image by: tsyhun / Shutterstock.com

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年9月28日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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